・イムブルビカ+ベネトクラクス併用療法の有効性・安全性を検証
・末梢血評価による微小残存病変陰性率は53%を達成
2019年7月11日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するBTK阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;以下イムブルビカ)+BCL2阻害薬であるベネトクラクス(venetoclax)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のCLARITY試験の結果がSt James’s University HospitalのPeter Hillmen氏らにより公表された。
CLARITY試験とは、再発難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者(N=53人)に対してイムブルビカ+ベネトクラクス併用療法を投与し、主要評価項目として併用療法開始より12ヶ月後の微小残存病変(MRD)陰性率、重要な副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、慢性リンパ性白血病(CLL)は西洋において最も多くの患者で発症する造血器腫瘍の1つである。現在の標準治療としては化学療法+抗体薬の併用療法であり、全生存期間(OS)中央値は診断より約10年であり比較的生存期間の長い疾患である。しかしながら、現在の標準治療での完全寛解は難しく、大半の患者が再発を経験する。以上の背景より、近年その有効性が確認されているBTK阻害薬イムブルビカ+BCL2阻害薬ベネトクラクスの併用療法の有用性が本試験にて確認される目的で開始された。
本試験に登録された54人の患者背景は下記の通りである。
性別
男性=69%
女性=31%
年齢中央値
64歳(31-83歳)
Binet分類による病期
ステージA=22%
ステージB=33%
ステージC=41%
バルキー病変の大きさ
5cm以上=7%
ECOG Performances Status
スコア0=59%
スコア1=33%
スコア2=6%
IGVG遺伝子ステータス
変異型=19%
野生型=74%
VH3-21=6%
不明=2%
del17p遺伝子変異=22%
del11q遺伝子変異=20%
前治療歴中央値
1レジメン(1-6レジメン)
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。併用療法開始より12ヶ月後の末梢血評価による微小残存病変(MRD)陰性率は53%(N=28/53人)、骨髄評価による微小残存病変(MRD)陰性率は36%(N=19/53人)を示した。なお、客観的奏効率(ORR)は89%を示し、その内訳は完全奏効率(CR)42%、血球数が未回復な完全寛解率(CRi)9%、部分奏効率(PR)38%を示した。
一方の安全性として、グレード3の有害事象(AE)81件、グレード4で19件、合計99件が確認された。最も多くの患者で確認されたグレード3の有害事象(AE)は好中球数減少23件、血小板数減少7件、高血圧5件、肺感染症5件、下痢4件、頭痛3件などであった。また、最も多くの患者で確認されたグレード4の有害事象(AE)は好中球数減少10件、血小板数減少7件であった。
以上のCLARITY試験の結果よりPeter Hillmen氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するBTK阻害薬イムブルビカ+BCL2阻害薬ベネトクラクス併用療法は、末梢血評価による微小残存病変(MRD)陰性率53%を達成しました。”
Ibrutinib Plus Venetoclax in Relapsed/Refractory Chronic Lymphocytic Leukemia: The CLARITY Study(J Cli Oncol. 2019 Juli 11: JCO 1900894. doi: 10.1200/ JCO.19.00894.)