標準治療抵抗性のある進行性大腸がん患者に対するロンサーフ+アバスチン併用療法、無増悪生存期間、全生存期間を改善するWCGC 2019より


  • [公開日]2019.07.29
  • [最終更新日]2019.11.18
この記事の3つのポイント
標準治療抵抗性のある進行性大腸がん患者が対象の医師主導無作為化試験
ロンサーフ+アバスチン併用療法の有効性安全性を検証
・ロンサーフ単剤療法に比べて、無増悪生存期間全生存期間を改善

2019年7月3~6日までスペイン・バルセロナで開催されたthe ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019(WCGC 2019)にて標準治療抵抗性のある進行性大腸がん患者に対するトリフルリジン・チピラシル塩酸塩(商品名ロンサーフ;以下ロンサーフ,略称TAS-102)+ベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法の有効性、安全性を比較したDanish Lonsurf試験の結果がOdense university HospitalのPer Pfeiffer氏らにより公表された。

Danish Lonsurf試験とは、5FU、イリノテカンオキサリプラチン、RAS野生型の場合には抗抗EGFR抗体薬であるセツキシマブ(商品名アービタックス)、パニツムマブ(商品名ベクティビックス)などの標準治療抵抗性進行性大腸がん患者に対して4週を1サイクルとして1~5日目、8~12日目に1日2回ロンサーフ35mg/m2+2週間に1回アバスチン5mg/kg併用療法を投与する群(N=46人)、または4週を1サイクルとして1~5日目、8~12日目に1日2回ロンサーフ35mg/m2単剤療法を投与する群(N=47人)に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した医師主導無作為化試験である。

本試験に登録された患者背景は両群間で大きな偏りはなく、前治療歴は下記の通りである。

前治療歴
2レジメン以下=併用群46%、単剤群42%
3レジメン=併用群26%、単剤群28%
4レジメン=併用群17%、単剤群17%
5レジメン以上=併用群11%、単剤群13%
アバスチン前治療歴=併用群85%、単剤群77%

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は併用群4.6ヶ月に対して単剤群2.6ヶ月、併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを55%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.45,P=0.001)。副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は併用群9.4ヶ月に対して単剤群6.7ヶ月、併用群で死亡(OS)のリスクを45%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.55,P=0.03)。なお、本試験では無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)のサブグループ解析が実施されており、アバスチンの前治療歴の有無に関わらず併用群で良好な結果を示した。

一方の安全性として、単剤群に比べて併用群の多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症血小板減少症であり、各グレード別の発症率は下記の通りである。全グレードの好中球減少症は併用群85%に対して単剤群66%、グレード3/4は併用群67%に対して単剤群38%。全グレードの血小板減少症は併用群39%に対して単剤群17%を示した。

Bevacizumab improves efficacy of trifluridine/tipiracil (TAS-102) in patients with chemorefractory metastatic colorectal cancer: a Danish randomized trial(World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019 Abstract #O-014)

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