転移性去勢感受性前立腺がん患者に対するアパルタミド+アンドロゲン除去療法、画像診断による無増悪生存期間、全生存期間を改善するThe New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2019.07.23
  • [最終更新日]2019.07.24去勢感受性前立腺がん(CSPC)を去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)と示していたため修正
この記事の3つのポイント
・去勢感受性前立腺がん患者が対象の第3相試験
アパルタミド+アンドロゲン除去療法の有効性安全性を検証
・画像診断による無増悪生存期間全生存期間を統計学的有意に改善

2019年7月4日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて転移性去勢感受性前立腺がん(CSPC)患者に対する経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬であるアパルタミド+アンドロゲン除去療法(androgen-deprivation therapy)の有効性、安全性を比較検証した第3相のTITAN試験(NCT02489318)の結果がUniversity of British ColumbiaのKim N. Chi氏らにより公表された。

本試験は、転移性去勢感受性前立腺がん(CSPC)患者に対して1日1回アパルタミド240mg+アンドロゲン除去療法を投与する群(N=525人)、またはプラセボ+アンドロゲン除去療法を投与する群(N=527人)に無作為に振り分け、主要評価項目として画像診断による無増悪生存期間(radiographic Progression-Free Survival:rPFS)、全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同二重盲検ランダム化の第3相試験である。

本試験に登録された1052人の患者背景は下記の通りである。

年齢中央値
アパルタミド群=69歳(45-94歳)
プラセボ群=68歳(43-90歳)

ECOG Performance Status
アパルタミド群=スコア0 62.5%、スコア1 37.5%、スコア2 0%
プラセボ群=スコア0 66.0%、スコア1 33.8%、スコア2 0.2%

グリソンスコア
アパルタミド群=7未満 7.8%、7 25.3%、7以上 66.9%
プラセボ群=7未満 7.4%、7 24.7%、7以上 67.9%。

診断時の転移ステージ
アパルタミド群=M0 16.2%、M1 78.3%、MX 5.5%
プラセボ群=M0 11.2%、M1 83.7%、MX 5.1%

ドセタキセル前治療歴
アパルタミド群=11.0%
プラセボ群=10.4%

以上のように両群間における患者背景に大きな偏りはなかった。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。画像診断による無増悪生存(rPFS)イベント365件(アパルタミド群134件に対してプラセボ群231件)発生時点における24ヶ月画像診断による無増悪生存率(rPFS)はアパルタミド群68.2%に対してプラセボ群47.5%、アパルタミド群で画像診断による病勢進行または死亡のリスクを52%(ハザード比:0.48,95%信頼区間:0.39-0.60,P<0.001)統計学的有意に改善した。また、サブグループ解析によりドセタキセル治療歴、腫瘍量に関係なくアパルタミド群で画像診断による無増悪生存(rPFS)を改善する傾向が確認されている。

全生存期間(OS)イベント200件(アパルタミド群83件に対してプラセボ群117件)発生時点における24ヶ月全生存率(OS)はアパルタミド群82.4%に対してプラセボ群73.5%、アパルタミド群で死亡のリスクを33%(ハザード比:0.67,95%信頼区間:0.51-0.89,P=0.005)統計学的有意に改善した。また、サブグループ解析により腫瘍量に関係なくアパルタミド群で全生存期間(OS)を改善する傾向が確認されている。

一方の安全性として、全グレード有害事象(AE)発症率はアパルタミド群96.8%(N=507人)に対してプラセボ群96.6%(N=509人)、グレード3または4のの有害事象(AE)発症率はアパルタミド群42.2%(N=221人)に対してプラセボ群40.8%(N=215人)、重篤な有害事象(SAE)発症率はアパルタミド群19.8%(N=104人)に対してプラセボ群20.3%(N=107人)、有害事象(AE)により治療中止に至った率はアパルタミド群8.0%(N=42人)に対してプラセボ群5.3%(N=28人)。

以上のTITAN試験の結果よりKim N. Chi氏らは以下のように結論を述べている。”転移性去勢感受性前立腺がん(CSPC)患者に対する経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬アパルタミド+アンドロゲン除去療法は、画像診断による無増悪生存(rPFS)、全生存期間(OS)を統計学的有意に改善し、プラセボ群に比べて忍容性も問題ありませんでした。”

Apalutamide for Metastatic, Castration-Sensitive Prostate Cancer.(N Engl J Med. 2019 July 4;381:13 -24. doi: 10.1056/NEJMoa1903307)

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