・セリネキサー+ダラザレックス+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を検証
・忍容性に問題はなく、ダラザレックス未治療の患者では客観的奏効率77%を示した
2019年6月13日から16日までオランダ・アムステルダムで開催された欧州血液学会(EHA)にて、3レジメン以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する経口核外輸送タンパク質阻害薬(SINE)であるセリネキサー+抗CD38モノクローナル抗体であるダラツムマブ(商品名ダラザレックス;以下ダラザレックス)+デキサメタゾン(SDd)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験の結果がDuke Cancer InstituteのCristina J. Gasparetto氏らにより公表された。
本試験は、3レジメン以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対してセリネキサー+ダラザレックス+デキサメタゾン(SDd)併用療法を投与し、主要評価項目として最大耐性量(MTD)、第2相試験推奨用量、安全性などを検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、経口核外輸送タンパク質阻害薬(SINE)であるセリネキサーはデキサメタゾンとの併用療法により、プロテアソーム阻害薬(PI)、免疫調節薬(iMids)、抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックスに抵抗性を有する再発難治性多発性骨髄腫に対して客観的奏効率(ORR)26.2%を示している。以上の背景より、3レジメン以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するセリネキサー+ダラザレックス+デキサメタゾン(SDd)併用療法の有用性が本試験で検証された。
本試験の結果、主要評価項目である安全性は下記の通りである。 最も多くの患者で確認された全グレード、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は血小板減少性が全グレードで66%、グレード3または4で48%、吐き気がが全グレードで66%、グレード3または4で3%、貧血がが全グレードで52%、グレード3または4で31%、リンパ球減少症がが全グレードで48%、グレード3または4で31%、好中球減少症がが全グレードで48%、グレード3または4で24%。また、第2相試験推奨用量はセリネキサー 100mg、ダラザレックス16mg/kg、デキサメタゾン40mgとして決定した。
一方の有効性として、評価可能で28人の患者における客観的奏効率(ORR)は下記の通りである。ダラザレックス未治療群(N=26人)おける客観的奏効率(ORR)は77%、ダラザレックス治療歴のある群(N=2人)は1人が病勢進行(PD)、1人が病勢安定(SD)を示した。
以上の第1/2相試験の結果よりCristina J. Gasparetto氏らは以下のように結論を述べている。”3レジメン以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する経口核外輸送タンパク質阻害薬セリネキサー+抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス+デキサメタゾン(SDd)併用療法は、忍容性に問題ありませんでした。また、ダラザレックス未治療の患者では客観的奏効率(ORR)77%を示しました。”
SAFETY AND EFFICACY OF COMBINATION OF SELINEXOR, DARATUMUMAB, AND DEXAMETHASONE (SDD) IN PATIENTS WITH MULTIPLE MYELOMA (MM) PREVIOUSLY EXPOSED TO PROTEASOME INHIBITORS AND IMMUNOMODULATORY DRUGS.(2019 EHA,Abstract No:S1606)