2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、治療歴のある進行性子宮内膜がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;イミフィンジ)単剤療法の有効性、安全性をミスマッチ修復機能ステータス別に検証した第2相のPHAEDRA試験(ACTRN12617000106336)の結果がNHMRC Clinical Trials CentreのYoland Catherine Antill氏らにより公表された。
PHAEDRA試験とは、治療歴のあるミスマッチ修復機能欠損のない(pMMR)・ミスマッチ修復機能欠損のある(dMMR)進行性子宮内膜がん患者(N=71人)に対して4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として16週時点の病勢コントロール率(DCR)、安全性などを検証した第2相試験である。なお、登録された患者の内ミスマッチ修復機能欠損のない(pMMR)患者は36人、ミスマッチ修復機能欠損のある(dMMR)患者は35人である。
本試験が実施された背景として、進行性子宮内膜がん患者の約15%でミスマッチ修復機能欠損(dMMR)が発生している。また、他の試験により報告では子宮内膜がん患者のPD-L1発現率は最高で90%である。以上の背景より、進行性子宮内膜がん患者に対する抗PD-L1抗体薬の有用性が本試験にて検証された。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はミスマッチ修復機能欠損のある(dMMR)群で40%(95%信頼区間:26-56%,N=14/35人)、ミスマッチ修復機能欠損のない(pMMR)群で3%(95%信頼区間:1-14%,N=1/36人)を示した。
また、副次評価項目である病勢コントロール率(DCR)はミスマッチ修復機能欠損のある(dMMR)群で60%(95%信頼区間:44-74%,N=21/35人)、ミスマッチ修復機能欠損のない(pMMR)群で19%(95%信頼区間:10-35%,N=7/36人)を示した。
一方の安全性として、免疫関連有害(IrAE)は14人の患者で確認され、その内訳は甲状腺機能亢進症6人、甲状腺機能低下症6人、肺炎1人、肝炎1人であった。
以上のPHAEDRA試験の結果よりYoland Catherine Antill氏らは以下のように結論を述べている。”ミスマッチ修復機能欠損のある(dMMR)進行性子宮内膜がん患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ単剤療法は、良好な抗腫瘍効果を示しました。一方で、ミスマッチ修復機能欠損のない(pMMR)進行性子宮内膜がん患者に対しては治療効果が限定的でした。”
Activity of durvalumab in advanced endometrial cancer (AEC) according to mismatch repair (MMR) status: The phase II PHAEDRA trial (ANZGOG1601).(2019 ASCO Annual Meeting, Abstract No:5501)