・イミフィンジ+トレメリムマブ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・マイクロサテライト安定性、腫瘍遺伝子変異数高量患者で全生存期間を有意に改善
2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、標準治療不応の再発難治性大腸がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;以下イミフィンジ)+抗CTLA-4抗体薬であるトレメリムマブ併用療法の有効性、安全性を検証したCCTG CO.26試験(NCT02870920)におけるマイクロサテライト安定性(MSS)、腫瘍遺伝子変異数(TMB)解析の結果がPrincess Margaret Cancer CentreのEric Xueyu Chen氏らにより公表された。
CCTG CO.26試験とは、標準治療(オキサリプラチン、イリノテカン、フルオロウラシル、ベバシズマブ、レゴラフェニブ、TAS-102、抗抗EGFR抗体薬など)不応の再発難治性大腸がん患者(N=180人)に対して28日を1サイクルとして1日目にイミフィンジ1500mg+1日目にトレメリムマブ75mg(初回4サイクルまで)併用療法を投与する群、またはBSC(best supportive care)を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、安全性などを比較検証した第2相試験である。
本試験の観察期間中央値15.2ヶ月時点における結果は、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はイミフィンジ+トレメリムマブ群6.6ヶ月に対してBSC群4.1ヶ月(HR=0.72、90%信頼区間:0.54-0.97、P=0.07)を示した。また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はイミフィンジ+トレメリムマブ群1.8ヶ月に対してBSC群1.9ヶ月(HR=1.01、90%信頼区間:0.76-1.34)、病勢制御率(DCR)はイミフィンジ+トレメリムマブ群22.7%に対して6.6%(P=0.006)を示した。
以上の結果を示した患者の中より169人の血液サンプルが回収され、cfDNAにより168人のMSIステータスが解析され、168人の内2人が高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)、166人がマイクロサテライト安定性(MSS)を示した。また、マイクロサテライト安定性(MSS)患者における平均腫瘍遺伝子変異数(TMB)は20.4±16.3mts/Mbを示した。
また、マイクロサテライト安定性(MSS)患者を腫瘍遺伝子変異数(TMB)により腫瘍遺伝子変異数(TMB)≧28mts/Mb群(N=35人)、腫瘍遺伝子変異数(TMB)<28mts/Mb群(N=131人)の2群に分けて全生存期間(OS)を検証した結果は下記の通りである。
腫瘍遺伝子変異数(TMB)≧28mts/Mb群における全生存期間(OS)はイミフィンジ+トレメリムマブ群5.5ヶ月に対してBSC群3.0ヶ月(HR=0.34、90%信頼区間:0.18-0.963、P=0.004)、イミフィンジ+トレメリムマブ群で統計学的有意に改善した。
腫瘍遺伝子変異数(TMB)<28mts/Mb群における全生存期間(OS)はイミフィンジ+トレメリムマブ群6.9ヶ月に対してBSC群5.3ヶ月(HR=0.76、90%信頼区間:0.53-1.09、P=0.004)、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。
以上のCCTG CO.26試験の結果よりEric Xueyu Chen氏らは以下のように結論を述べている。”標準治療不応の再発難治性大腸がん患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+抗CTLA-4抗体薬トレメリムマブ併用療法は、マイクロサテライト安定性(MSS)患者の内腫瘍遺伝子変異数(TMB)高量群において全生存期間(OS)を有意に改善しました。”
CCTG CO.26: Updated analysis and impact of plasma-detected microsatellite stability (MSS) and tumor mutation burden (TMB) in a phase II trial of durvalumab (D) plus tremelimumab (T) and best supportive care (BSC) versus BSC alone in patients (pts) with refractory metastatic colorectal carcinoma (rmCRC).(2019 ASCO Annual Meeting, Abstract No:3512)