・無治療群とテモゾロミド 6コース継続群の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間中央値は継続投与群9.8ヶ月に対して無治療群7.7ヶ月だった
2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、初発膠芽腫(GBM)患者に対する照射+テモゾロミド標準治療6コース投与後の、無治療群とテモゾロミド 6コース継続群の有効性、安全性を比較検証した第2b相のGEINO試験(NCT02209948)の結果がInsitut Català d'OncologiaのCarmen Balaña氏らにより公表された。
GEINO試験とは、照射+テモゾロミド標準治療6コース投与後の初発膠芽腫患者(N=159人)に対して維持療法としてテモゾロミド6コースを継続投与する群(N=80人)、または無治療群(N=79人)の2群に無作為に振り分け、主要評価項目として6ヶ月無増悪生存率(PFS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを検証した第2b相試験である。
本試験が実施された背景として、初発膠芽腫(GBM)患者に対する標準治療は照射+テモゾロミドであるが、維持療法としてのテモゾロミドの回数については様々な議論がある。また、テモゾロミドの投与回数を増加させることで全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を延長させることを証明したデータも存在しない。以上の背景より本試験が実施された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
継続投与群=60.4歳(29-83歳)
無治療群=60.4歳(29-83歳)
性別
継続投与群=女性 48.1%
無治療群=女性 47.8%
KPSスコア
継続投与群=スコア0 2.5%、スコア2 97.5%
無治療群=スコア0 2.5%、スコア2 97.5%
残存腫瘍割合
継続投与群=あり 23.8%
無治療群=あり 10.1%。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。フォローアップ期間中央値15.6ヶ月時点における主要評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS)は継続投与群62.5%(95%信頼区間:51.9%-73.1%)に対して無治療群55.7%(95%信頼区間:44.7%-66.7%)、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。なお、無増悪生存期間(PFS)中央値は継続投与群9.8ヶ月(95%信頼区間:6.5-13.0ヶ月)に対して無治療群7.7ヶ月(95%信頼区間:5.7-9.8ヶ月)を示した。
一方の安全性として、グレード1~2の有害事象(AE)発症率は下記の通りである。貧血は継続治療群4%に対して無治療群2%、好中球減少症は継続治療群1%に対して無治療群1%、血小板減少性は継続治療群12%に対して無治療群36%、リンパ球減少症は継続治療群32%に対して無治療群2%、継続治療群4%に対して無治療群2%を示した。
以上のGEINO試験の結果よりCarmen Balaña氏らは以下のように結論を述べている。”初発膠芽腫(GBM)患者に対する照射+テモゾロミド6コース投与後の、無治療群、テモゾロミド6コース継続群では6ヶ月無増悪生存率(PFS)、無増悪生存期間(PFS)に関して統計学的有意な差は確認されませんでした。”