RET融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん患者に対するBLU-667単剤療法、客観的奏効率58~60%を示す米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)より


  • [公開日]2019.06.18
  • [最終更新日]2019.06.18
この記事の3つのポイント
・RET融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん患者が対象の第1相試験
・選択的RET阻害薬BLU-667単剤療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率は58~60%を示し、忍容性も良好だった

2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、RET融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん患者に対する選択的RET阻害薬であるBLU-667単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相のARROW試験(NCT03037385)の結果がMassachusetts General HospitalのJustin F. Gainor氏らにより公表された。

ARROW試験とは、RET融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん患者に対して用量漸増パートでは1日1~2回BLU-667 30~600mg単剤療法を投与する群、用量拡大パートでは1日1回BLU-667 400mg単剤療法を投与する群に分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した第1相試験である。

本試験に登録された120人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は60歳(28-87歳)。性別は男性49%(N=59人)。ECOG Performance Statusはスコア0が38%、スコア1~2が62%。脳転移の有無はあり40%。全身療法の前治療歴中央値は2レジメン(0-11)。前治療の抗がん剤の種類は化学療法77%、PD-1PD-L1抗体薬39%、マルチキナーゼ阻害薬18%。喫煙歴はあり34%、なし65%。組織学的分類は腺がん95%、その他5%。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は評価可能であった全患者群(N=48人)では58%(95%信頼区間:43%-72%)、プラチナ製剤既治療群(N=35人)では60%(95%信頼区間:42%-76%)を示した。なお、完全奏効率(CR)を示した割合は全患者群で1%、プラチナ製剤既治療群で1%、部分奏効率(PR)を示した割合は全患者群で27%、プラチナ製剤既治療群で20%を示した。

一方の安全性として、15%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は便秘30%、好中球減少症26%、AST上昇24%、倦怠感21%、高血圧20%、貧血18%、下痢18%、発熱18%、ALT上昇17%、咳17%、口渇17%。また、多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は便秘2%、好中球減少症13%、AST上昇5%、倦怠感3%、高血圧13%、貧血7%、下痢2%、ALT上昇3%。なお、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は7%を示した。

以上のARROW試験の結果よりJustin F. Gainor氏らは以下のように結論を述べている。”RET融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん患者に対する選択的RET阻害薬であるBLU-667単剤療法は、客観的奏効率(ORR)58~60%を示し、忍容性も良好でした。”

Clinical activity and tolerability of BLU-667, a highly potent and selective RET inhibitor, in patients (pts) with advanced RET-fusion+ non-small cell lung cancer (NSCLC).(2019 ASCO Annual Meeting, Abstract No:9008)

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