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治療歴のあるFLT3-ITD変異陽性再発難治性急性骨髄性白血病患者に対するキザルチニブ単剤療法、全生存期間を統計学的有意に改善する

[公開日] 2019.06.18[最終更新日] 2019.06.18

この記事の3つのポイント ・治療歴のあるFLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病患者が対象の第3相試験
・FLT3阻害薬キザルチニブ単剤療法と標準化学療法の有効性を比較検証
・キザルチニブ群で死亡のリスクを統計学的有意に24%減少した

2019年6月4日、医学誌『The Lancet Onoclogy』にて、治療歴のあるFLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するFLT3阻害薬であるキザルチニブ単剤療法と標準化学療法(SC)の有効性を比較検証した第3相のQuANTUM-R試験(NCT02039726)の結果がMD Anderson Cancer CenterのJorge Cortes氏らにより公表された。

QuANTUM-R試験とは、造血幹細胞移植(HSCT)などの治療歴のあるFLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病(AML)患者(N=367人)に対して1日1回キザルチニブ60mg単剤療法を投与する群(N=245人)、または治験医師選択の標準化学療法(SC)である低用量シタラビン(LoDAC)、ミトキサントロン+エトポシド+中用量シタラビン(MEC)、フルダラビン+シタラビン+フィルグラスチム+イダルビシン(FLAG-IDA)などを投与する群(N=122人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無イベント生存期間(EFS)を比較検証したアジアを含む国際多施設共同の第3相試験である。

本試験が実施された背景として、FLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病(AML)患者の予後は不良であることが明らかであり、サルベージ治療に対して奏効が不良である。以上の背景より、選択的にFLT3を阻害する治療薬であるキザルチニブ単剤療法の単剤療法の有効性、安全性が検証された。

本試験のフォローアップ期間中央値23.5ヶ月時点における結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はキザルチニブ群6.2ヶ月(95%信頼区間:5.3-7.2ヶ月)に対して標準化学療法(SC)群4.7ヶ月(95%信頼区間:4.0-5.5ヶ月)、キザルチニブ群で死亡のリスク(OS)を統計学的有意に24%減少(ハザード比:0.76,95%信頼区間:0.58-0.98,P=0.02)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)はキザルチニブ、標準化学療法(SC)それぞれ下記の通りである。敗血症または敗血症性ショックはキザルチニブ群16%に対して標準化学療法(SC)群18%、肺炎はキザルチニブ群12%に対して標準化学療法(SC)群9%、低カリウム血症はキザルチニブ群12%に対して標準化学療法(SC)群9%。

また、最も多くの患者で確認された重篤な有害事象(SAE)はキザルチニブ、標準化学療法(SC)それぞれ下記の通りである。発熱好中球減少症はキザルチニブ群7%に対して標準化学療法(SC)群5%、敗血症または敗血症性ショックはキザルチニブ群5%に対して標準化学療法(SC)群4%、QT延長はキザルチニブ群2%、吐き気はキザルチニブ群2%。

以上のQuANTUM-R試験の結果よりJorge Cortes氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のあるFLT3-ITD変異を有する再発難治性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するFLT3阻害薬であるキザルチニブ単剤療法は、標準化学療法(SC)に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に延長し、忍容性も問題ありませんでした。”

Quizartinib versus salvage chemotherapy in relapsed or refractory FLT3-ITD acute myeloid leukaemia (QuANTUM-R): a multicentre, randomised, controlled, open-label, phase 3 trial(Lancet Oncol. 2019 Jun 4. pii: S1470-2045(19)30150-0. doi: 10.1016/S1470-2045(19)30150-0.)

ニュース 白血病 NCT02039726

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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