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ハイリスク慢性リンパ性白血病患者に対するファーストライン治療としてのイムブルビカ+ベネトクラクス併用療法、良好な抗腫瘍効果を示す

[公開日] 2019.06.10[最終更新日] 2019.06.10

この記事の3つのポイント ・ハイリスク慢性リンパ性白血病患者が対象の第2相試験
・ファーストライン治療としてのイムブルビカベネトクラクス併用療法の有効性・安全性を検証
・完全寛解率はイムブルビカ+ベネトクラクス併用療法3~18サイクル後時点で57~96%を示した

2019年5月30日、医学誌『The New England Journal of Medicine 』にてハイリスク慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するファーストライン治療としてのBTK阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;イムブルビカ)+BCL-2阻害薬であるベネトクラクス併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02756897)の結果がMD Anderson Cancer CenterのNitin Jain氏らにより公表された。

本試験は、染色体17p欠失、染色体11q欠失、TP53遺伝子変異、IGHV遺伝子変異、または65歳以上のいずれかのリスク因子を有する慢性リンパ性白血病(CLL)患者(N=80人)に対するファーストライン治療として28日を1サイクルとして1日1回イムブルビカ420mg単剤療法を3サイクル投与後、28日を1サイクルとして1日1回イムブルビカ420mg+1日1回ベネトクラクス400mg併用療法を投与し、主要評価項目として完全寛解率(CR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した第2相試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65歳(26-83歳)。性別は男性71%(N=57人)。FISH検査ステータスは染色体17p欠失18%(N=14人)、染色体11q欠失25%(N=20人)、12トリソミー21%(N=17人)、染色体13p欠失24%(N=19人)。遺伝子ステータスははIGHV変異型17%(N=13人)、TP53遺伝子変異型14%(N=11人)など。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である完全寛解率(CR)はイムブルビカ+ベネトクラクス併用療法3サイクル後時点で57%、6サイクル後時点で73%(95%信頼区間:61%-83%)、9サイクル後で83%、12サイクル後時点で88%(95%信頼区間:72%-97%)、18サイクル後時点で96%(95%信頼区間:80%-100%)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は打撲60%(N=48人)、関節痛48%(N=38人)、下痢41%(N=33人)、嘔吐・吐き気36%(N=29人)、筋肉痛28%(N=22人)、皮膚障害24%(N=19人)、爪変色16%(N=13人)。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は心房細動10%(N=8人)、高血圧10%(N=8人)、関節痛1%(N=1人)、下痢1%(N=1人)、疲労1%(N=1人)、アミノトランスフェラーゼ上昇1%(N=1人)。

また、44%の患者でイムブルビカの減量が実施されたが、その主な原因となった治療関連有害事象(TRAE)は心房細動9人、好中球減少症5人、発疹5人、高血圧3人、筋肉痛3人。24%の患者でベネトクラクスの減量が実施されたが、その主な原因となった治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症12人。

以上の第2相試験の結果よりNitin Jain氏らは以下のように結論を述べている。”ハイリスク慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するファーストライン治療としてのイムブルビカ+ベネトクラクス併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示しました。”

Ibrutinib and Venetoclax for First-Line Treatment of CLL.(N Engl J Med. 2019 May 30;380(22):2095-2103. doi: 10.1056/NEJMoa1900574.)

ニュース 白血病 NCT02756897

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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