・Ipatasertib+パクリタキセル併用療法の有効性・安全性を検証
・病理学的完全奏効率はIpatasertib群で16%、プラセボ群13%で有意に改善せず
2019年5月30日、医学誌『Annals of Oncology』にて早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としてのAKT阻害薬であるIpatasertib+パクリタキセル併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02301988)の結果が Vall d’Hebron University HospitalのM Oliveira氏らにより公表された。
本試験は、早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法として28日を1サイクルとして1~21日目にIpatasertib 400mg+パクリタキセル 80mg/m2併用療法を12週間投与する群、または28日を1サイクルとして1~21日目にプラセボ+パクリタキセル80mg/m2併用療法を12週間投与する群、主要評価項目として全患者群における病理学的完全奏効率(pCR)、副次評価項目としてPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異のある患者群における病理学的完全奏効率(pCR)を検証した第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全患者群(N=151人)における病理学的完全奏効率(pCR)はIpatasertib群16%に対してプラセボ群13%、PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異のある患者群(N=62人)における病理学的完全奏効率(pCR)はIpatasertib群18%に対してプラセボ群12%を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はIpatasertib群32%に対してプラセボ群16%、とくにIpatasertib群で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は下痢でIpatasertib群17%に対してプラセボ群1%であった。
以上の第2相試験の結果よりM Oliveira氏らは以下のように結論を述べている。”早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としてのAKT阻害薬Ipatasertib+パクリタキセル併用療法は、プラセボ群に比べて病理学的完全奏効率(pCR)を統計学的に有意に改善しませんでした。”