・術前化学療法としてのオプジーボ単剤、オプジーボ+下ヤーボイ併用療法の有効性・安全性を検証
・術前の残存腫瘍10%以下の割合はそれぞれ17%と33%で、オプジーボ+ヤーボイ群で高率だった
2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、切除可能な非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)、オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のNEOSTAR試験(NCT03158129)の結果がMD Anderson Cancer CenterのTina Cascone氏らにより公表された。
NEOSTAR試験とは、ステージI~IIIA期の切除可能な非小細胞肺がん患者(N=44人)に対して術前化学療法として1、15、29日目にオプジーボ3mg/kg単剤療法を投与する群、または1、15、29日目にオプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kg併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として術前の残存腫瘍10%以下の割合(MPR)、副次評価項目として安全性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、切除可能な非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の病理学的奏効率(MPR)は20~45%と示されており、オプジーボ単剤療法、オプジーボ+ヤーボイ併用療法による治療も本患者に対して有用である可能性がある。以上の背景より本試験が実施された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
オプジーボ群=66.1歳
オプジーボ+ヤーボイ群=65.0歳
性別
オプジーボ群=男性 65%
オプジーボ+ヤーボイ群=男性 62%
人種
オプジーボ群=白人 91%
オプジーボ+ヤーボイ群=白人 76%
喫煙ステータス
オプジーボ群=なし 22%、あり 78%
オプジーボ+ヤーボイ群=なし 14%、あり 86%
進行期
オプジーボ群=ステージIA 17%、ステージIB 30%、ステージIIA 9%、ステージIIB 22%、ステージIIIA 43%
オプジーボ+ヤーボイ群=ステージIA 19%、ステージIB 38%、ステージIIA 24%、ステージIIB 0%、ステージIIIA 19%
組織学的分類
オプジーボ群=扁平上皮 43%、腺がん 0%
オプジーボ+ヤーボイ群=扁平上皮 33%、腺がん 5%
術前化学療法完遂率
オプジーボ群=96%
オプジーボ+ヤーボイ群=90%
手術施行率
オプジーボ群=96%
オプジーボ+ヤーボイ群=81%
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である術前療法の残存腫瘍10%以下の割合(MPR)はオプジーボ群17%(N=4人)、オプジーボ+ヤーボイ群33%(N=7人)と、オプジーボ+ヤーボイ群で高率であった。
一方の安全性として、グレード1または2の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ群で疲労35%、皮膚障害26%、貧血13%、低ナトリウム血症13%、オプジーボ+ヤーボイ群で皮膚障害53%、疲労33%、吐き気33%、咳29%、下痢29%であった。
また、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ群で高マグネシウム血症4%、低酸素4%、肺炎4%、オプジーボ+ヤーボイ群で下痢4%、低ナトリウム血症4%であった。なお、毒性において両群間で大きな問題なかった。
以上のNEOSTAR試験の結果よりTina Cascone氏らは以下のように結論を述べている。”切除可能な非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ、オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は、術前療法の残存腫瘍10%以下の割合(MPR)17%、33%をそれぞれ示し、本患者の有望な治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”