・オプジーボ+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン併用療法の安全性・有効性を検証
・客観的奏効率は84%、うち67%が完全奏効を示し、忍容性も問題なかった
2019年5月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療の古典的進行性ホジキンリンパ腫患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン併用療法の安全性、有効性を検証した第2相のCheckMate 205試験(NCT02181738)の結果がUniversity of TennesseeのRadhakrishnan Ramchandren氏らにより公表された。
CheckMate 205試験とは、未治療の古典的進行性ホジキンリンパ腫患者(N=51人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg単剤療法を4サイクル投与後、2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg+ドキソルビシン25mg/m²+ビンブラスチン6mg/m²+ダカルバジン375mg/m²併用療法を12サイクル投与し、主要評価項目として安全性、客観的奏効率(ORR)などを検証したマルチコーホートの第2相試験である。
本試験が実施された背景として、免疫チェックポイント阻害薬であるオプジーボは再発難治性古典的進行性ホジキンリンパ腫に対する有効性、安全性が他の臨床試験で確認されている。例えば、複数治療歴のある再発難治性古典的進行性ホジキンリンパ腫に対するオプジーボ単剤療法の客観的奏効率(ORR)は69%、無増悪生存期間(PFS)中央値は15ヶ月である。また、再発難治性古典的進行性ホジキンリンパ腫に対するオプジーボ+ブレンツキシマブベドチン併用療法の客観的奏効率(ORR)は82%を示している。以上の臨床試験の結果より、古典的進行性ホジキンリンパ腫患者に対する免疫チェックポイント阻害薬+化学療法の有用性を確認する目的で本試験が実施された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は37歳(18-87歳)。性別は男性63%(N=32人)。IPSによる予後リスクは0-1が24%(N=12人)、2-3が41%(N=21人)、4以上が25%(N=13人)、不明10%(N=5人)。進行病期はステージIIが20%(N=10人)、ステージIIIが24%(N=12人)、ステージIVが57%(N=29人)。B症状ステータスはありが80%(N=41人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率96%(N=49人)、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率59%(N=30人)を示した。最も多くの患者で確認された全グレードの血液関連治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症/好中球数減少55%(N=28人)、白血球数減少14%(N=7人)、発熱好中球減少症10%(N=5人)、貧血10%(N=5人)。また、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の血液関連治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症/好中球数減少49%(N=25人)、発熱好中球減少症10%(N=5人)、貧血4%(N=2人)、ALT上昇4%(N=2人)。
全グレードの免疫関連有害事象(irAE)発症率は甲状腺/甲状腺炎機能低下症18%(N=9人)、甲状腺機能亢進症8%(N=4人)。グレード3~4の免疫関連有害事象(irAE)を発症した患者は1人も確認されなかった。
一方の有効性としては、客観的奏効率(ORR)84%(95%信頼区間:71%-93%)を示し、その内67%(95%信頼区間:52%-79%)の患者で完全奏効(CR)を示した。また、フォローアップ期間中央値9.4ヶ月時点における9ヶ月無増悪生存率(PFS)は92%を示した。
以上のCheckMate 205試験の結果よりRadhakrishnan Ramchandren氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の古典的進行性ホジキンリンパ腫患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン併用療法は、客観的奏効率(ORR)84%を示し、忍容性も問題ありませんでした。”