・1stライン治療としてのポラツズマブ ベドチン+リツキサンまたはガザイバ+CHP併用療法の有効性・安全性を検証
・副次評価項目の客観的奏効率は89%を示し、内訳は完全奏効率77%、部分奏効率12%だった
2019年5月14日、医学誌『The Lancet Oncology』にて未治療びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対するファーストライン治療としての抗CD79b抗体薬物複合体であるポラツズマブ ベドチン(RO5541077)+抗CD20抗体薬であるリツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)またはオビヌツズマブ(商品名ガザイバ;以下ガザイバ)+CHP併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT01992653)の結果がUniversity of RouenのHervé Tilly氏らにより公表された。
本試験は、18歳以上の未治療びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者(N=66人)に対するファーストライン治療として3週を1サイクルとして1または2日目にポラツズマブ ベドチン1.0-2.4mg/kg+1日目にリツキサン375mg/m2または1、8、15日目にガザイバ1000mg+1日目にシクロホスファミド750mg/m2+1日目にドキソルビシン50mg/m2+1~5日目に1日1回プレドニゾン100mg(CHP)併用療法を投与し、主要評価項目として安全性、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証したオープンラベル非ランダム化の第1/2相試験である。
本試験が実施された背景として、再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対してポラツズマブ ベドチン単剤療法、併用療法は良好な抗腫瘍効果が確認されているためである。以上の背景より、未治療びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対するファーストライン治療としてのポラツズマブ ベドチン併用療法の有効性、安全性が本試験で検証された。
本試験の結果、主要評価項目である安全性は下記の通りである。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症30%(N=20人)、発熱好中球減少症18%(N=12人)、血小板減少性9%(N=6人)を示した。なお、本試験のフォローアップ期間中に4人の患者で死亡が確認され、その原因は1人は心房細動、1人は敗血症性ショック、2人は疾患進行によるものであった。また、副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は89%(N=59人)を示し、奏効の内訳としては完全奏効率(CR)77%、部分奏効率(PR)12%の患者で確認された。
以上の第1/2相試験の結果よりHervé Tilly氏らは以下のように結論を述べている。”未治療びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対するファーストライン治療としてのポラツズマブ ベドチン+リツキサンまたはガザイバ+CHP併用療法は、忍容性に問題なく、良好な抗腫瘍効果を示しました。今後は第3相試験にて本治療の有効性、安全性を検証していく必要があります。”