ホルモン受容体陽性転移性乳がん患者に対するイブランス+ホルモン療法併用療法のリアルワールドデータにおける結果Breast Cancer Researchより


  • [公開日]2019.05.14
  • [最終更新日]2019.05.13
この記事の3つのポイント
ホルモン受容体陽性転移性乳がん患者を対象としたリアルワールドデータと第2・3相試験の結果を比較
イブランスホルモン療法併用療法の有効性安全性を検証した
無増悪生存期間は、イブランス+レトロゾール併用療法で短縮、イブランス+フルベストラント併用療法では同等

2019年3月20日、医学誌『Breast Cancer Research』にてホルモン受容体陽性転移性乳がん患者に対するCDK4/6阻害薬であるパルボシクリブ(商品名イブランス;以下イブランス)+ホルモン療法併用療法の有効性、安全性を比較検証したリアルワールドデータの結果がWeill Cornell MedicineのLeticia Varella氏らにより公表された。

本リアルワールドデータは、米国・オハイオ州にあるCleveland Clinic health systemにて2015年2月より2017年12月の間にイブランス+レトロゾール併用療法、またはイブランス+フルベストラント併用療法治療を受けたホルモン受容体陽性転移性乳がん患者(N=411人)を対象にし、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を検証した結果である。

本試験が実施された背景として、第3相臨床試験においてイブランス+レトロゾール、またはイブランス+フルベストラント併用療法のホルモン受容体陽性転移性乳がん患者に対する有用性が証明されている。しかしながら、臨床では大規模無作為化臨床試験のエビデンスの再現性を証明するために、リアルワールドデータの結果が重視されているため本試験が実施された。

本試験のフォローアップ期間中央値10.2ヶ月、年齢中央値53.5歳時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は一次治療としてのイブランス+レトロゾール群で15.1ヶ月、2次治療として10.5ヶ月、3次治療以降として4.2ヶ月。また、一次治療としてのイブランス+フルベストラント群で11.6ヶ月、2次治療として12.3ヶ月、3次治療以降として6.4ヶ月を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は血液関連毒性であり、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)としては好中球減少症が58%の患者で確認された。なお、8%(N=31人)の患者が治療関連有害事象(TRAE)のために治療を中止している。

以上のリアルワールドデータの結果よりLeticia Varella氏らは以下のように結論を述べている。”リアルワールドデータの結果、ホルモン受容体陽性転移性乳がん患者に対するイブランス+レトロゾール併用療法は第2、第3相試験の無増悪生存期間(PFS)の結果に比べて短縮し、イブランス+フルベストラント併用療法は同等でした。また、本治療の忍容性は問題なく、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は低率でした。”

Real-world clinical outcomes and toxicity in metastatic breast cancer patients treated with palbociclib and endocrine therapy(Breast Cancer Research and Treatment, First Online: 20 March 2019)

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