進行性トリプルネガティブ乳がん患者に対するファーストライン治療としてのIpatasertib+テセントリク+化学療法、客観的奏効率73%を示すPD-L1ステータスや遺伝子ステータスに影響されず


  • [公開日]2019.05.08
  • [最終更新日]2019.05.07
この記事の3つのポイント
・進行性トリプルネガティブ乳がん患者が対象の第1相試験
・1stライン治療としてのIpatasertib+テセントリク+化学療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率は73%を示し、PD-L1ステータスや遺伝子ステータスに影響されなかった

2019年4月1日、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社より進行性トリプルネガティブ乳がん患者に対するファーストライン治療としての経口AKT阻害薬であるIpatasertib+抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+化学療法の有効性、安全性を検証した第1相試験の結果が米国癌学会議(AACR 2019)にて発表されたことが公表された。

本試験は、未治療の局所進行性または転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対してIpatasertib+テセントリク+パクリタキセルまたはナブパクリタキセルを投与し、主要評価項目として安全性などを検証した第1相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値6.1ヶ月(3.1-10.6ヶ月)、評価可能であった患者26人時点における結果、 客観的奏効率(ORR)は73%(95%信頼区間:53-88%,N=19/26人)を示した。なお、奏効率はPD-L1ステータス、PI3KCA/AKT1/PTEN遺伝子ステータスに影響されなかった。

例えば、奏効率の評価可能であった26人の内、PD-L1陽性患者群の客観的奏効率(ORR)は82%(N=9/11人)、PD-L1陰性患者群の客観的奏効率(ORR)は75%(N=6/8人)、PD-L1ステータス不明患者群の客観的奏効率(ORR)は57%(N=4/7人)であった。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は54%(N=14人)の患者で確認され、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は下痢19%、皮膚障害27%であった。

以上の第1相試験の結果より、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社・Chief Medical Officer and Head of Global Product DevelopmentのSandra Horning氏は以下のようにコメントを述べている。”Ipatasertib+テセントリク+化学療法は客観的奏効率(ORR)73%を示し、進行性トリプルネガティブ乳がんに期待のできる結果を示しました。”

参照:
エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社 メディアリリース

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