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HER2陽性早期乳がん患者に対するハーセプチン皮下注投与、静注内投与に対して6年無イベント生存率で非劣勢を示す

[公開日] 2019.04.26[最終更新日] 2019.04.26

この記事の3つのポイント ・HER2陽性早期乳がん患者が対象の第3相試験
・ハーセプチン皮下注投与の静注内投与に対する非劣勢を比較検証
・無イベント生存率、全生存期間で静注内投与と同等の成績を示した

2019年4月18日、医学誌『JAMA Oncology』にてHER2陽性早期乳がん患者に対する抗HER2モノクローナル抗体薬であるトラスツズマブ(商品名ハーセプチン;以下ハーセプチン)皮下注投与の静注内投与に対する非劣勢を比較検証した第3相のThe HannaH試験(NCT00950300)の最終解析の結果がSana Klinikum Offenbach GmbHのChristian Jackisch氏らにより公表された。

本試験は、HER2陽性早期乳がん患者に対する術前化学療法として3週を1サイクルとして皮下注ハーセプチン600mg+化学療法(ドセタキセル75mg/m2、フルオロウラシル500mg/m2+エピルビシン75mg/m2+シクロホスファミド500mg/m2)を8サイクル投与する群(N=297人)、または3週を1サイクルとして静脈注ハーセプチン6~8mg/kg+化学療法を8サイクル投与する群(N=299人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として完全奏効率(CR)、副次評価項目として無イベント生存率(EFS)、全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同の前向き第3相試験である。なお、両群間ともに完全切除後に3週を1サイクルとして皮下注ハーセプチン600mg、または静脈注ハーセプチン6~8mg/kg単剤療法を10サイクル追加投与している。

本試験が実施された背景として、The HannaH試験の初回解析でハーセプチンの皮下注投与の完全奏効率(CR)は静脈内投与に対する非劣勢を証明している。また、静脈内投与に比べて皮下注投与は治療時間が短縮され、患者負担も軽減する可能性が示唆されている。以上の背景より、ハーセプチンの皮下注投与の長期有効性、安全性を検証するため本試験が実施された。

本試験のフォローアップ期間中央値5.9年(0.03-6.3年)時点における結果は下記の通りである。副次評価項目である6年無イベント生存率(EFS)は皮下注群65%に対して静注群65%、静注群に対する皮下注群の6年無イベント生存率(EFS)は同等であった(HR:0.98,95%信頼区間:0.74-1.29)。また、6年全生存率(OS)皮下注群84%に対して静注群84%、静注群に対する皮下注群の6年全生存率(OS)は同等であった(HR:0.94,95%信頼区間:0.61-1.45)。

一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は皮下注群97.6%に対して静注群94.6%、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は皮下注群53.2%に対して静注群53.7%、重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率は皮下注群21.9%に対して静注群15.1%を示した。

以上のThe HannaH試験の最終解析の結果よりChristian Jackisch氏らは以下のように結論を述べている。”HER2陽性早期乳がん患者に対する抗HER2モノクローナル抗体薬ハーセプチン皮下注投与は、無イベント生存率(EFS)、全生存期間(OS)において静注内投与と同等の成績を示しました。”

Subcutaneous vs Intravenous Trastuzumab for Patients With ERBB2-Positive Early Breast Cancer Final Analysis of the HannaH Phase 3 Randomized Clinical Trial(JAMA Oncol. Published online April 18, 2019.)

ニュース 乳がん NCT00950300

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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