難治性インドレント非ホジキンリンパ腫患者に対するデュベリシブ、客観的奏効率47.3%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2019.03.30
  • [最終更新日]2019.12.19
この記事の3つのポイント
・難治性インドレント非ホジキンリンパ腫患者が対象の第2相試験
・デュベリシブ単剤療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率は47.3%で、忍容性も問題なかった

2019年2月11日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて難治性インドレント非ホジキンリンパ腫患者に対するPI3K阻害薬であるデュベリシブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のDYNAMO試験(NCT01882803)の結果がSarah Cannon Research Institute・Ian W. Flinn氏らにより公表された。

本試験は、濾胞性リンパ腫(FL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)などの難治性インドレント非ホジキンリンパ腫患者(N=129人)に対して1日2回デュベリシブ25mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現する投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)、奏効持続期間(DOR)などを検証したシングルアームオープンラベルの第2相試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65.0歳(30-90歳)。性別は白人89.9%(N=116人)、黒人4.7%(N=6人)、アジア人0.8%(N=1人)、その他0.8%(N=1人)、不明3.1%(N=4人)。性別は男性68.2%(N=88人)、女性31.8%(N=41人)。

試験参加時の病期ステージI-IIが14.7%(N=19人)、ステージIII-IVが84.5%(N=109人)、不明0.8%(N=1人)。ECOG Performance Statusはスコア0-1が94.6%(N=122人)、ステージ2が5.4%(N=7人)。FLIPIリスク分類はLowが13.3%(N=11人)、Intermediateが20.5%(N=17人)、Highが65.1%(N=54人)、不明1.2%(N=1人)。

抗がん剤前治療歴中央値は3.0レジメン(1-18)。前治療歴の種類はリツキシマブが100%(N=129人)、アルキル化剤が100%(N=129人)、リツキシマブ+アルキル化剤併用が94.6%(N=122人)、ベンダムスチンが63.6%(N=82人)、アントラサイクリンが60.5%(N=78人)、リツキシマブ+ベンダムスチン併用が49.6%(N=64人)、R-CHOPが37.2%(N=48人)。

以上の背景を有する患者における追跡期間中央値32.1ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は47.3%(95%信頼区間:38.4-56.3%)、奏効の内訳は完全奏効(CR)1.6%(N=2人)、部分奏効(PR)45.7%(N=59人)、病勢安定SD)32.6%(N=42人)、病勢進行14.0%(N=18人)を示した。

また、インドレント非ホジキンリンパ腫別の客観的奏効率(ORR)は下記の通りである。濾胞性リンパ腫(FL,N=83人)群の客観的奏効率(ORR)は42.2%(95%信頼区間:31.4-53.5%)、小リンパ球性リンパ腫(SLL,N=28人)群は67.9%(95%信頼区間:47.6-84.1%)、辺縁帯リンパ腫(MZL,N=18人)群は38.9%(95%信頼区間:17.3-64.3%)を示した。

副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は9.5ヶ月(95%信頼区間:8.1-11.8ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は28.9ヶ月(95%信頼区間:21.4ヶ月-未到達)、奏効持続期間(DOR)中央値は10ヶ月(95%信頼区間:6.5-10.5ヶ月)を示した。

一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は99.2%(N=128人)を示した。なお、多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下痢48.8%(N=63人)、吐き気29.5%(N=38人)、好中球減少症28.7%(N=37人)、倦怠感27.9%(N=36人)、空咳27.1%(N=35人)、貧血26.4%(N=34人)、発熱24.8%(N=32人)であった。

また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は88.4%(N=114人)を示した。なお、多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症24.8%(N=32人)、下痢14.7%(N=19人)、貧血14.7%(N=19人)、血小板減少性11.6%(N=15人)であった。

以上のDYNAMO試験の結果よりSarah Cannon Research Institute・Ian W. Flinn氏らは以下のように結論を述べている。”難治性インドレント非ホジキンリンパ腫患者に対するPI3K阻害薬デュベリシブ単剤療法は良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした。本治療は非ホジキンリンパ腫の新規治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”

DYNAMO: A Phase II Study of Duvelisib (IPI-145) in Patients With Refractory Indolent Non-Hodgkin Lymphoma(Journal of Clinical Oncology, Published online February 11, 2019.)

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