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進行非淡明非腎細胞がん患者に対する新規分子標的薬カボザンチニブ、客観的奏効率27%を示す

[公開日] 2019.03.11[最終更新日] 2019.03.11

この記事の3つのポイント ・カボザンチニブは既に淡明腎細胞がんには有効性が示されている ・非淡明腎細胞がん患者に対するカボザンチニブの有効性を後ろ向きに検証 ・非淡明腎細胞がん患者対しても奏効率27%を示した
2019年2月28日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性非淡明腎細胞がん患者に対する経口チロシンキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ(商品名CABOMETYX)の有効性、安全性を検証した後ろ向きコーホート試験の結果がJules Bordet Institute・Nieves Martinez Chanza氏らにより公表された。 本試験は、2015年より2018年までの期間において米国、ベルギーの医療期間においてカボザンチニブによる治療を受けた進行性非淡明腎細胞がん患者を対象に、主要評価項目としてカボザンチニブ治療後の客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを後ろ向きに検証した国際多施設共同のコーホート試験である。 本試験が実施された背景として、カボザンチニブは進行性腎細胞がんの中でも淡明細胞がんにおける臨床的有用性が確認されているが、非淡明細胞がんにおける有効性は乏しい。以上の背景より、カボザンチニブ治療歴のある進行性非淡明腎細胞がん患者を対象に、カボザンチニブ治療後の客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを後ろ向きに検証する本試験が開始された。 本試験に登録された患者(N=112人)背景は下記の通りである。年齢中央値は60歳(48-66歳)。性別は女性24%(N=27人)、男性76%(N=85人)。人種は白人80%(N=90人)、アフリカ人16%(N=18人)、アジア人1%未満(N=1人)、不明3%(N=3人)。 参加者ステータスは以下の通り。 合併症の種類 高血圧54%(N=60人) 糖尿病16%(N=18人) コレステロール上昇21%(N=24人) 深部静脈血栓症/肺塞栓症10%(N=11人) 心房細動9%(N=10人) ECOG Performance Status(PS) スコア0:20%(N=23人) スコア1:53%(N=59人) スコア2-3:10%(N=11人) 不明:17%(N=19人) 組織学的分類 乳頭状59%(N=66人) Xp11.2転座型15%(N=17人) 未分類13%(N=15人) 嫌色素性9%(N=10人) 集合管4%(N=4人)。 IMDCリスク分類 Favorable:8%(N=9人) Intermediate:63%(N=71人) Poor:26%(N=29人) 不明:3%(N=3人) 転移部位 リンパ節85%(N=95人) 肺59%(N=66人) 骨44%(N=49人) 肝臓38%(N=42人) 治療歴 0レジメン:20%(N=22人) 1レジメン:28%(N=31人) 2レジメン:29%(N=32人) 3レジメン以上:24%(N=27人)。 以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。 全患者群における客観的奏効率(ORR)は27%(95%信頼区間:19%-36%,N=30/112人)、臨床的有用率(CBR)は74%(95%信頼区間:65%-82%,N=83/112人)を示した。 組織学的別では乳頭状群の客観的奏効率(ORR)は27%(95%信頼区間:17%-40%,N=18/66人)、臨床的有用率(CBR)は73%(95%信頼区間:60%-83%,N=48/66人)。Xp11.2転座型群の客観的奏効率(ORR)は29%(95%信頼区間:10%-56%,N=5/17人)、臨床的有用率(CBR)は82%(95%信頼区間:57%-96%,N=14/17人)、 未分類群の客観的奏効率(ORR)は13%(95%信頼区間:2%-40%,N=2/15人)、臨床的有用率(CBR)は67%(95%信頼区間:38%-88%,N=10/15人)。嫌色素性群の客観的奏効率(ORR)は30%(95%信頼区間:7%-65%,N=7/10人)、臨床的有用率(CBR)は70%(95%信頼区間:35%-93%,N=7/10人)。集合管群の客観的奏効率(ORR)は50%(95%信頼区間:7%-93%,N=2/4人)、臨床的有用率(CBR)は100%(95%信頼区間:40%-99%,N=4/4人)。 また、無増悪生存期間(PFS)中央値は7.0ヶ月(95%信頼区間:5.7-9.0ヶ月)。全生存期間(OS)中央値は12.0ヶ月(95%信頼区間:9.2-17.0ヶ月)、6ヶ月全生存率(OS)79%(95%信頼区間:70%-86%)、12ヶ月全生存率(OS)51%(95%信頼区間:39%-62%)。 一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)発症率は下記の通りである。グレード1または2の治療関連有害事象(TRAE)としては倦怠感38%(N=42人)、下痢23%(N=26人)、吐き気21%(N=24人)、高血圧20%(N=22人)、経髄炎17%(N=19人)、皮膚障害16%(N=18人)、粘膜炎13%(N=14人)、甲状腺機能低下症11%(N=12人)。 グレード3の治療関連有害事象(TRAE)としては皮膚障害4%(N=5人)、高血圧4%(N=4人)、下痢3%(N=3人)、倦怠感2%(N=2人)、経髄炎1%(N=1人)、粘膜炎1%(N=1人)などである。なお、治療関連有害事象(TRAE)により死亡は1人も確認されていない。 以上の後ろ向きコーホート試験の結果よりJules Bordet Institute・Nieves Martinez Chanza氏らは以下のように結論を述べている。”リアルワールドデータに基づき、進行性非淡明腎細胞がん患者に対する経口チロシンキナーゼ阻害薬カボザンチニブの有用性を検証したところ、抗腫瘍効果は良好であり、忍容性にも問題ありませんでした。” Cabozantinib in advanced non-clear-cell renal cell carcinoma: a multicentre, retrospective, cohort study(Lancet Oncology, Published:February 28, 2019)
ニュース 腎臓がん カボザンチニブ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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