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未治療転移性膵腺がん患者に対するPEGPH20+mFOLFIRINOX併用療法、mFOLFIRINOXに比べて全生存期間を改善しないJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2019.03.07
  • [最終更新日]2019.04.08
この記事の3つのポイント
・未治療の転移性腺がん患者が対象の第1b/2相試験
・PEGPH20+mFOLFIRINOX併用療法有効性安全性を比較検証
・PEGPH20+mFOLFIRINOX群で死亡のリスクが統計学有意に107%増加

2019年2月28日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療の転移性膵腺がん患者に対するペグ化遺伝子組み換えヒアルロニダーゼ製剤であるPEGPH20+mFOLFIRINOX併用療法の有効性、安全性を比較検証した第1b/2相試験の結果がRamesh K. Ramanathan氏らにより公表された。

本試験は、未治療の転移性膵腺がん患者(N=138人)に対して2週を1サイクルとしてPEGPH20 3µg/kg+mFOLFIRINOX併用療法を投与する群、またはmFOLFIRINOX併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として第2相段階では全生存期間OS)を比較検証した第1b/2相試験である。

本試験が実施された背景として、転移性膵がんの現在の標準治療としてFOLFIRINOX併用療法、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法などある。これら標準治療の全生存期間(OS)中央値はFOLFIRINOX併用療法11.4ヶ月、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法8.5ヶ月であり、ゲムシタビン単剤療法に比べて改善している。

しかしながら、FOLFIRINOX併用療法、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法を持ってしても転移性膵がんの予後は不良であり、2年生存する患者は10%未満である。以上の背景より、ヒアルロン酸を分解することで抗がん剤の効果を高めることが期待されているPEGPH20をmFOLFIRINOXに併用するの有用性が本試験で検証された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。

年齢中央値

PEGPH20+mFOLFIRINOX群=64歳(40-74歳)
mFOLFIRINOX群=61歳(32-75歳)

性別

PEGPH20+mFOLFIRINOX群=男性44%、女性56%
mFOLFIRINOX群=男性55%、女性45%

人種

PEGPH20+mFOLFIRINOX群=白人78%、アジア人13%、黒人2%、その他7%
mFOLFIRINOX群=白人82%、アジア人7%、黒人7%、その他4%

Performance Status

PEGPH20+mFOLFIRINOX群=スコア0が58%、スコア1が42%
mFOLFIRINOX群=スコア0が55%、スコア1が45%

原発腫瘍部位

PEGPH20+mFOLFIRINOX群=膵頭35%、膵体29%、膵尾部20%、不明17%
mFOLFIRINOX群=膵頭29%、膵体29%、膵尾部27%、不明16%

血清CA19-9値

PEGPH20+mFOLFIRINOX群=37U/ml未満13%、37U/ml以上87%
mFOLFIRINOX群=37U/ml未満18%、37U/ml以上82%

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はPEGPH20+mFOLFIRINOX群7.7ヶ月(95%信頼区間:4.6-9.3ヶ月)に対してmFOLFIRINOX群14.4ヶ月(95%信頼区間:10.1-15.7ヶ月)、PEGPH20+mFOLFIRINOX群で死亡(OS)のリスクが統計学有意に107%増加した(HR:2.07,95%信頼区間:1.28-3.34,P<0.01)。

また、無増悪生存期間PFS)中央値はPEGPH20+mFOLFIRINOX群4.3ヶ月に対してmFOLFIRINOX群6.2ヶ月、PEGPH20+mFOLFIRINOX群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが統計学有意に74%増加した(HR:1.74,95%信頼区間:1.14-2.66,P=0.01)。

奏効率(RR)はPEGPH20+mFOLFIRINOX群33%(95%信頼区間:20-45%)に対してmFOLFIRINOX群45%(95%信頼区間:32-58%)、PEGPH20+mFOLFIRINOX群で奏効率(RR)は低率であったが両群間で統計学有意な差は確認されなかった(P=0.20)。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)はPEGPH20+mFOLFIRINOX群で吐き気25%(N=13人)、下痢24%(N=12人)、嘔吐22%(N=11人)、倦怠感20%(N=10人)に対してmFOLFIRINOX群で下痢19%(N=10人)、吐き気15%(N=8人)、嘔吐13%(N=7人)、倦怠感11%(N=6人)を示した。なお、重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率はPEGPH20+mFOLFIRINOX群45%(N=23人)に対してmFOLFIRINOX群9%(N=5人)であった。

以上の第1b/2相試験の結果よりRamesh K. Ramanathan氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の転移性膵腺がん患者に対するmFOLFIRINOX併用療法へのペグ化遺伝子組み換えヒアルロニダーゼ製剤であるPEGPH20の上乗せ効果は確認されませんでした。”

Phase IB/II Randomized Study of FOLFIRINOX Plus Pegylated Recombinant Human Hyaluronidase Versus FOLFIRINOX Alone in Patients With Metastatic Pancreatic Adenocarcinoma: SWOG S1313(Journal of Clinical Oncology, Published online February 28, 2019.)

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