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局所進行性前立腺がん患者に対する術前化学療法としてのエンザルタミド+リュープリン±ザイティガ+プレドニゾン併用療法、病理学的完全奏効を改善する傾向にJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2019.03.06
  • [最終更新日]2019.04.08
この記事の3つのポイント
・局所進行性前立腺がん患者が対象の第2相試験
・ELAP併用療法有効性安全性を比較検証
病理学的完全奏効率はELAP群10%(EL群8%)だった

2019年2月27日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて局所進行性前立腺がん患者に対する術前化学療法としての経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬であるエンザルタミド(商品名イクスタンジ;以下イクスタンジ)+リュープロレリン(商品名リュープリン;以下リュープリン)±CYP17阻害薬であるアビラテロン(商品名ザイティガ;以下ザイティガ)+プレドニゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT02268175)の結果がRana R. McKay氏らにより公表された。

本試験は、局所進行性前立腺がん患者に対する根治的前立腺摘除術前の化学療法としてイクスタンジ+リュープリン+ザイティガ+プレドニゾン(ELAP)併用療法を投与する群、またはイクスタンジ+リュープリン(RP)併用療法を投与する群に2対1の割合で振り分け、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR)、微小残存病変MRD)の有無、副次評価項目としてPSA値などを比較検証した多施設共同非盲検下の第2相試験である。

本試験が実施された背景として、グリソンスコア8~10のハイリスク局所進行性前立腺がん患者は根治的前立腺摘除術後でもその予後は不良である。それにも関わらず、本患者の標準治療は依然として根治的前立腺摘除術である。そこで、局所進行性前立腺がん患者に対する術前化学療法としての他の臨床試験でその有用性が確認されているイクスタンジ+リュープリン併用療法を参考に、本試験が開始された。

本試験に登録されたELAP群(N=50人)、EL群(N=25人)の患者背景はそれぞれ下記の通りである。

年齢中央値

ELAP群=62歳(44-75歳)
EL群=63歳(52-73歳)

ECOG Performance Status

ELAP群=スコア0が100%(N=50人)、スコア1が0%
EL群=スコア0が96%(N=24人)、スコア1が4%(N=1人)

人種

ELAP群=白人90%(N=45人)、黒人6%(N=3人)、アジア人0%、その他4%(N=2人)
EL群=白人80%(N=20人)、黒人12%(N=3人)、アジア人8%(N=2人)、その他0%

TNM分類におけるT因子

ELAP群=T1が36%(N=18人)、T2が30%(N=15人)、T3が32%(N=16人)、不明が2%(N=1人)
EL群=T1が36%(N=9人)、T2が36%(N=9人)、T3が24%(N=6人)、不明が4%(N=1人)

グリソンスコア

ELAP群=スコア7が22%(N=11人)、スコア8が22%(N=11人)、スコア9が52%(N=26人)、スコア10が4%(N=2人)
EL群=スコア7が24%(N=6人)、スコア8が224(N=6人)、スコア9が52%(N=13人)、スコア10が0%

試験開始時のPSA中央値

ELAP群=7.1(1.0-74.6)
EL群=8.6(2.1-77.5)

NCCNリスク分類

ELAP群=Highが88%(N=44人)、Interpretersが12%(N=6人)
EL群=Highが84%(N=21人)、Interpretersが16%(N=4人)

なお、患者背景に両群間で大きな偏りはなかった。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)はELAP群10%(N=5人)に対してEL群8%(N=2人)、微小残存病変(MRD)陰性率はELAP群20%(N=10人)に対してEL群8%(N=2人)を示した。

また、病理学的完全奏効(pCR)または微小残存病変(MRD)陰性を達成した患者割合はELAP群30%(95%信頼区間:18-45%,N=15人)に対してEL群16%(95%信頼区間:5-36%,N=4人)、ELAP群で高率であったが両群間で統計学有意な差は確認されなかった。

副次評価項目であるPSA値としては、根治的前立腺摘除術前のnadir PSA値はELAP群0.03ng/ml(95%信頼区間:0-0.27)に対してEL群0.02ng/ml(95%信頼区間:0-0.14)。nadir PSA値到達までの期間中央値はELAP群3.7ヶ月(95%信頼区間:0.90-5.70ヶ月)に対してEL群4.6ヶ月(95%信頼区間:1.8-5.5ヶ月)を示した。

一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)は両群間でほぼ同等であったが、EL群に比べてELAP群で多く確認された治療関連有害事象(TRAE)は高血圧、ALT上昇、AST上昇などであった。また、術後合併症の発症率も低率であり、最も多く確認された術後合併症は尿漏れ、尿瘤、尿道カテーテルの機能不全であった。

以上の第2相試験の結果よりRana R. McKay氏らは以下のように結論を述べている。”局所進行性前立腺がん患者に対する術前化学療法としてのELAP併用療法は、EL療法に比べて病理学的完全奏効(pCR)を改善する傾向が確認されました。ELAP併用療法の臨床的有用性については、再発率などの評価項目を今後長期的にフォローしていく必要があります。”

Evaluation of Intense Androgen Deprivation Before Prostatectomy: A Randomized Phase II Trial of Enzalutamide and Leuprolide With or Without Abiraterone(Journal of Clinical Oncology, Published online February 27, 2019.)

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