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治療歴のインドレント非ホジキンリンパ腫患者に対するデュベリシブ単剤療法、客観的奏効率47.3%を示す

[公開日] 2019.02.26[最終更新日] 2019.02.26

この記事の3つのポイント ・リツキサンなどの治療に耐性を示したインドレント非ホジキンリンパ腫患者が対象の第2相試験
・デュベリシブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・臨床的意義のある抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題なかった

2019年2月11日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてリツキシマブ(商品名リツキサン;リツキサン)などの治療に耐性を示したインドレント非ホジキンリンパ腫(iNHL)患者に対する経口PI3K阻害薬であるデュベリシブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のDYNAMO試験(NCT01882803)の結果がSarah Cannon Research InstituteのIan W. Flinn氏らにより公表された。

DYNAMO試験とは、リツキサンなどの治療に耐性を示した濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、または小リンパ球性リンパ腫などのインドレント非ホジキンリンパ腫(iNHL)患者(N=129人)に対して28日を1サイクルとして1日2回デュベリシブ25mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発症するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した単群非盲検下の第2相試験である。

本試験が実施された背景として、インドレント非ホジキンリンパ腫(iNHL)の20~30%を占める濾胞性リンパ腫、4%を占める辺縁帯リンパ腫、7%を占める小リンパ球性リンパ腫は、リツキサンベースの化学療法により無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)は良好である。しかしながら、約20%の患者が再発を経験し、その患者の5年生存率(OS)は約50%である。以上の背景より、リツキサンなどの治療に耐性を示したインドレント非ホジキンリンパ腫(iNHL)患者に対するPI3K阻害薬であるデュベリシブの有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65.0歳(30-90歳)。人種は白人89.9%(N=116人)、黒人4.7%(N=6人)、アジア人0.8%(N=1人)。性別は男性68.2%(N=88人)、女性31.8%(N=41人)。ECOG Performance Statusはスコア0-1が94.6%(N=122人)、スコア2が5.4%(N=7人)。

進行病期はステージI-IIが14.7%(N=19人)、ステージIII-IVが84.5%(N=109人)、不明が0%。ベースライン時点のバルキー病変ありの患者39.5%(N=51人)。インドレント非ホジキンリンパ腫(iNHL)のサブタイプは小リンパ球性21.7%(N=28人)、濾胞辺縁帯14.0%(N=18人)、節外性6.9%(N=9人)、脾臓3.8%(N=5人)、リンパ節性3.1%(N=4人)、濾胞性64.3%(N=83人)。

前治療の種類はリツキサン100%(N=129人)、アルキル化剤100%(N=129人)、リツキサン+アルキル化剤94.6%(N=122人)、ベンダムスチン(商品名トレアキシン;以下トレアキシン)63.6%(N=82人)、アントラサイクリン60.5%(N=78人)、リツキサン+トレアキシン49.6%(N=64人)、R-CHOP37.2%(N=48人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の追跡期間中央値32.1ヶ月時点の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は47.3%(95%信頼区間:38.4%-56.3%,N=61人)、奏効の内訳は完全奏効(CR)1.6%(N=2人)、部分奏効(PR)45.7%(N=59人)を示した。

副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は10.0ヶ月(95%信頼区間:6.3-10.5ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は9.5ヶ月(95%信頼区間:8.1-11.8ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は28.9ヶ月(95%信頼区間:21.4ヶ月-未到達)を示した。

一方の安全性として、10%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。下痢48.8%(N=63人)、吐き気29.5%(N=38人)、好中球減少症28.7%(N=37人)、倦怠感27.9%(N=36人)、咳27.1%(N=35人)、貧血26.4%(N=34人)、発熱24.8%(N=32人)、皮膚障害18.6%(N=24人)、血小板減少症18.6%(N=24人)、嘔吐18.6%(N=24人)、浮腫17.1%(N=22人)、頭痛15.5%(N=20人)、食欲減退14.7%(N=19人)、関節痛14.7%(N=19人)、腹痛14.7%(N=19人)、ALT上昇14.0%(N=18人)、背部痛13.2%(N=17人)、低カリウム血症13.2%(N=17人)、便秘11.6%(N=15人)、無力症11.6%(N=15人)、AST上昇10.1%(N=13人)、寝汗10.1%(N=13人)。

以上のDYNAMO試験の結果よりIan W. Flinn氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のあるインドレント非ホジキンリンパ腫(iNHL)患者に対する経口PI3K阻害薬であるデュベリシブ単剤療法は、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした。この結果より、デュベリシブはインドレント非ホジキンリンパ腫(iNHL)患者の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”

DYNAMO: A Phase II Study of Duvelisib (IPI-145) in Patients With Refractory Indolent Non-Hodgkin Lymphoma(Journal of Clinical Oncology, Published online February 11, 2019.)

ニュース 悪性リンパ腫 NCT01882803

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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