・術前化学療法としてのオプジーボ単剤療法、+ヤーボイ併用療法の有効性を検証
・病理学的完全奏効率は37.5%、手術の遅延も確認されず
2019年1月17日~1月19日まで米国・サンフランシスコで開催されていた消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2019)にて切除可能肝細胞がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)単剤療法、オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法の有効性を検証した第2相試験(NCT03222076)の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのAhmed Omar Kaseb氏らにより公表された。
本試験は、切除可能肝細胞がん患者に対する術前化学療法として2週を1サイクルとしオプジーボ240mg単剤療法を6週間投与する群(アームA)、2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg+ヤーボイ1mg/kg併用療法を6週間投与する群(アームB)に分け、主要評価項目として安全性、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景は、切除可能肝細胞がん患者の再発率は他はがん種に比べて高率であるにも関わらず、標準治療になり得る術前化学療法、術後化学療法が現在存在しないためである。以上の背景より、切除可能肝細胞がん患者に対する術前化学療法としての免疫チェックポイント阻害薬の有効性が本試験より検証された。
本試験の初回解析において評価可能であった患者(N=8人、アームA群5人、アームB群3人)における結果は下記の通りである。副次評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)は37.5%(N=3/8人,アームA群2人、アームB群1人)を示した。また、病理学的完全奏効率(pCR)を達成した患者における治療関連有害事象(TRAE)による手術への影響は確認されなかった。
以上の第2相試験の結果よりAhmed Omar Kaseb氏らは以下のように結論を述べている。”切除可能肝細胞がん患者に対する術前化学療法としてのオプジーボ単剤療法、オプジーボ+ヤーボイ併用療法の病理学的完全奏効率(pCR)は37.5%を示し、治療関連有害事象(TRAE)による手術の遅延も確認されておりません。本試験は現在進行中ですが、切除可能肝細胞がんに対する周術期化学療法の標準治療になり得る可能性があります。”