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膠芽腫患者に対するPI3K阻害薬ブパルリシブ単剤療法は有効性示せず


  • [公開日]2019.02.09
  • [最終更新日]2019.02.15
この記事の3つのポイント
・グリオブラストーマ患者に対するPI3K阻害薬の検証
・プバルリシブ単剤療法の第二相試験
・6か月後の生存率8%と有効性をしめせなかった

2018年2月4日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発難治性膠芽腫(グリオブラストーマ)患者に対するPI3K阻害薬であるブパルリシブ(buparlisib)単剤療法の有効性、安全性を検証した第II相試験(NCT01339052)の結果がDana Farber Cancer Institute・Patrick Y. Wen氏らにより公表された。

本試験は、再発難治性膠芽腫(グリオブラストーマ)患者に対して再手術7~13日前に1日1回ブパルリシブ100mg単剤療法を投与する群(N=15人,コーホート1)、または再手術不可能な再発難治性膠芽腫患者に対して1日1回ブパルリシブ100mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ副作用が発現するまで投与する群(N=50人,コーホート2)に分け、主要評価項目としてコーホート1では血液脳関門(BBB)の通過率、コーホート2では6ヶ月無増悪生存率PFS)、副次評価項目として病勢制御率(DCR)、全生存期間OS)、安全性などを検証した多施設共同オープンラベルの第II相試験である。

本試験が実施された背景として、膠芽腫(グリオブラストーマ)は脳腫瘍の中で最も一般的な病型であり、治療方法としては手術、放射線療法、化学療法があるにも関わらず、全生存期間(OS)中央値は14~18ヶ月程度とここ20年間改善していない。特に、血液脳関門(BBB)に妨げられることで薬物療法の成果は限られている。

しかしながら、膠芽腫(グリオブラストーマ)患者の約45%はPTEN喪失、PIK3CA、もしくはPIK3R1遺伝子変異のいずれかを有しており、PI3K阻害薬であるブパルリシブの治療標的になり得る。実際、別の臨床試験で再発難治性膠芽腫(グリオブラストーマ)患者に対するPI3K阻害薬の有効性が検証され、6ヶ月無増悪生存率(PFS)17%を示した。なお、その臨床試験ではPI3K阻害薬の血液脳関門(BBB)の通過率は検証していない。

以上の背景より、再発難治性膠芽腫(グリオブラストーマ)患者に対するPI3K阻害薬であるブパルリシブの有効性、薬物動態について検証するため本試験が開始された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値はコーホート1で55歳(39-68歳)に対してコーホート2で56歳(29-80歳)。性別はコーホート1で男性が73.3%(N=11人)、女性が26.7%(N=4人)に対してコーホート2で男性が74.0%(N=37人)、女性が26.0%(N=13人)。

KPSスコアはコーホート1で100が13.3%(N=2人)、90が66.7%(N=10人)、80が13.3%(N=2人)、70が6.7%(N=1人)に対してコーホート2で100が18.0%(N=9人)、90が46.0%(N=23人)、80が30.0%(N=15人)、70が6.0%(N=3人)。

前治療歴中央値はコーホート1で1レジメン(1-2)に対してコーホート2で1レジメン(1-2)。ベバシズマブ(商品名アバスチン)治療歴はコーホート1で0%に対してコーホート2で0%。遺伝子変異ステータスはコーホート1でIDH1/2野生型が86.7%(N=13人)、IDH1/2変異型が6.7%(N=1人)、不明が6.7%(N=1人)に対してコーホート2でIDH1/2野生型が74.0%(N=37人)、IDH1/2変異型が22.0%(N=11人)、不明が4.0%(N=2人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の追跡期間中央値コーホート1で15.6ヶ月、コーホート2で9.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。コーホート1の主要評価項目である血液脳関門(BBB)の通過は確認された。

また、コーホート2の主要評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS)8%(95%信頼区間:3%-19%)、無増悪生存期間(PFS)中央値1.7ヶ月(95%信頼区間:1.4-1.8ヶ月)、主要評価項目の基準値を達成できなかった。

副次評価項目である病勢制御率(DCR)はコーホート1で40%(95%信頼区間:20%-64%)に対してコーホート2で43.8%(95%信頼区間:31%-58%)を示した。全生存期間(OS)中央値はコーホート1で17.9ヶ月(9.3-29.2ヶ月)に対してコーホート2で9.8ヶ月(8.4-12.1ヶ月)を示した。

一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はコーホート1で40.0%(95%信頼区間:19.8%-64.3%)に対してコーホート2で32.0%(95%信頼区間:20.8%-45.8%)を示した。なお、減量の理由となった治療関連有害事象(TRAE)はリパーゼ上昇9.2%(N=6人)、ALT上昇7.7%(N=5人)、高血糖7.7%(N=5人)を示した。

以上の第II相試験の結果よりDana Farber Cancer Institute・Patrick Y. Wen氏らは以下のよに結論を述べている。”再発難治性膠芽腫(グリオブラストーマ)患者に対するPI3K阻害薬ブパルリシブ単剤療法は、血液脳関門(BBB)を通過しましたが、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示すことができませんでした。”

http://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.18.01207

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