• 検索
  • 相談
  • お知らせ
  • メニュー
  • がん種
  • 特集
  • 治験
  • リサーチ
  • イベント
  • 体験談
  • 患者会
  • 辞典
  • お役立ち

ドセタキセルにて術前化学療法中の乳がん患者に対して鎮痛薬セレコックス上乗せによる影響

[公開日] 2019.02.08[最終更新日] 2019.02.08

この記事の3つのポイント ・炎症に関与するCOX-2遺伝子はがんに関連するといわれている ・鎮痛薬であるセレコックスはCOX-2選択的阻害薬である ・術前化学療法中の乳がん患者に対してセレコックスの使用は避けた方が良い可能性
2019年1月31日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて局所進行性乳がん患者に対する術前化学療法としてのCOX-2選択的阻害薬であるセレコキシブ(商品名セレコックス;以下セレコックス)とPTGS2として知られているCOX-2遺伝子発現の関係性について検証したREMAGUS02試験の結果がUniversité Paris Descartes・Anne-Sophie Hamy氏らにより公表された。 本試験は、COX-2遺伝子発現のあるHER2陰性局所進行性乳がん患者(N=156人)に対する術前化学療法としてエピルビシン+シクロホスファミド併用療法後にドセタキセル+セレコックス併用療法を投与する群(N=78人)、またはエピルビシン+シクロホスファミド併用療法後にドセタキセル単剤療法を投与する群(N=78人)に分け、評価項目として無イベント生存率(EFS)、全生存率(OS)などを設定し、セレコックスとCOX-2遺伝子発現の関係性を検証した試験である。 本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢はセレコックス投与群で40歳未満21.8%(N=17人)、40~49歳38.5%(N=30人)、50歳以上39.7%(N=31人)に対して非投与群で40歳未満21.8%(N=17人)、40~49歳46.2%(N=36人)、50歳以上32.1%(N=25人)。 閉経ステータスはセレコックス投与群で閉経前66.2%(N=51人)、閉経後33.8%(N=26人)に対して非投与群で閉経前70.5%(N=55人)、閉経後29.5%(N=23人)。平均BMI値はセレコックス投与群25.8kg/m2に対して非投与群24.5kg/m2。 TNM分類におけるT因子はセレコックス投与群でT2が51.3%(N=40人)、T3/4が48.7%(N=38人)に対して非投与群でT2が62.8%(N=49人)、T3/4が37.2%(N=29人)。N因子がセレコックス投与群でN0が39.0%(N=30人)、N1/2/3が61.0%(N=47人)に対して非投与群でN0が37.2%(N=29人)、N1/2/3が62.8%(N=49人)。 ホルモン受容体ステータスはセレコックス投与群でエストロゲン受容体陽性65.4%(N=51人)、プロゲステロン受容体陽性率45.5%(N=35人)、トリプルネガティブ乳がん33.3%(N=26人)に対して非投与群でエストロゲン受容体陽性62.8%(N=49人)、プロゲステロン受容体陽性率42.1%(N=32人)、トリプルネガティブ乳がん37.2%(N=29人)。p53遺伝子ステータスはセレコックス投与群で変異型45.9%(N=17人)に対して非投与群で変異型38.5%(N=15人)。以上のような背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。 無イベント生存率(EFS)ハザード比(セレコックス非投与群のハザード比を1.0とする)は全患者群(N=156人)におけるセレコックス投与群では1.7(95%信頼区間:1-2.88,P=0.046)、COX-2発現低率群(N=104人)におけるセレコックス投与群では3.01(95%信頼区間:1.45-6.24,P=0.02)、COX-2発現高率群(N=52人)におけるセレコックス投与群では0.75(95%信頼区間:0.3-1.83,P=0.52)。以上のように、セレコックス投与によりCOX-2発現低率群では無イベント生存期間(EFS)が短縮し、COX-2発現高率群では影響を与えないことが示された。 全生存率(OS)ハザード比(セレコックス非投与群のハザード比を1.0とする)は全患者群(N=156人)におけるセレコックス投与群では1.71(95%信頼区間:0.88-3.33,P=0.108)、COX-2発現低率群(N=104人)におけるセレコックス投与群では3.32(95%信頼区間:1.23-9.01,P=0.012)、COX-2発現高率群(N=52人)におけるセレコックス投与群では0.8(95%信頼区間:0.28-2.24,P=0.668)。無イベント生存率(EFS)同様に、セレコックス投与によりCOX-2発現低率群では全生存期間(OS)が短縮し、COX-2発現高率群では影響を与えないことが示された。 以上のREMAGUS02試験の結果よりUniversité Paris Descartes・Anne-Sophie Hamy氏らは以下のように結論を述べている。”局所進行性乳がん患者に対する術前化学療法としてのドセタキセルへのセレコックス上乗せは、無イベント生存率(EFS)、全生存率(OS)へ影響を与えますので投与は避けるべきです。” Celecoxib With Neoadjuvant Chemotherapy for Breast Cancer Might Worsen Outcomes Differentially by COX-2 Expression and ER Status: Exploratory Analysis of the REMAGUS02 Trial(Journal of Clinical Oncology, Published online January 31, 2019.)
ニュース 乳がん セレコキシブ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

治験・臨床試験

一覧を見る

リサーチ・調査

一覧を見る

ニュース

一覧を見る

イベント

一覧を見る

患者会

一覧を見る