この記事の3つのポイント
・胃がんに対するオプジーボ併用療法の第2相試験
・オプジーボとMMP9抗体Andecaliximabの併用療法
・併用群が有効な傾向があるものの、奏効率や生存期間などは統計学的に改善されなかった。
2019年1月17日~1月19日にかけて米国・サンフランシスコで開催された消化器癌シンポジウム(ASCO GI 2019)にて治療歴のある切除不能/再発胃がんまたは食道胃接合部がん患者に対する抗マトリックス・メタロプロテアーゼ (MMP)9抗体薬であるAndecaliximabと抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)併用療法の有効性を比較検証した第2相試験(NCT02864381)の結果がWeill Cornell Medicine/New York Presbyterian Hospital・Manish A. Shah氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のある切除不能/再発胃がんまたは食道胃接合部がん患者(N=141人)に対して2週を1サイクルとして1日目にAndecaliximab 800mg+1日目にオプジーボ3mg/kg併用療法を投与する群、または2週を1サイクルとして1日目にオプジーボ3mg/kg単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した非盲検ランダム化第2相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は59歳。性別は男性69%、女性31%。人種は白人81%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はAndecaliximab+オプジーボ併用群11.1%(95%信頼区間:4.9%–20.7%)に対してオプジーボ単剤群6.9%(95%信頼区間:2.3%–15.5%)を示した(P=0.06)。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はAndecaliximab+オプジーボ併用群1.8ヶ月(95%信頼区間:1.8–2.0ヶ月)に対してオプジーボ単剤群1.9ヶ月(95%信頼区間:1.7–1.9ヶ月)を示した(P=0.2)。全生存期間(OS)中央値はAndecaliximab+オプジーボ併用群7.2ヶ月(95%信頼区間:5.2–9.1ヶ月)に対してオプジーボ単剤群5.9ヶ月(95%信頼区間:3.5–8.6ヶ月)を示した(P=0.4)。
以上の第2相試験の結果よりWeill Cornell Medicine/New York Presbyterian Hospital・Manish A. Shah氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある切除不能/再発胃がんまたは食道胃接合部がん患者に対するAndecaliximab+オプジーボ併用療法は、オプジーボ単剤療法に比べて客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善しませんでした。”
A phase II, open-label, randomized study to evaluate the efficacy and safety of andecaliximab combined with nivolumab versus nivolumab alone in subjects with unresectable or recurrent gastric or gastroesophageal junction adenocarcinoma.(ASCO-GI 2019,Abstract No.75)あなたは医師ですか。