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AI搭載のスマホアプリを活用したがん性疼痛軽減効果を臨床試験で初めて実証2018年ASCOがん苦痛緩和と看護に関するシンポジウムより


  • [公開日]2019.01.25
  • [最終更新日]2019.01.28

がん性疼痛を経験する患者は最大で90%ともいわれ、その痛みが強くなるほど生活の質QOL)への悪影響は免れない。一方で、緩和ケアに携わる医療従事者は圧倒的に不足し、高齢化の進む現状を踏まえれば、将来的にも緩和ケア従事者の不足解消に見通しが立っていない。

2018年11月、スマホアプリを利用したモニタリングとAIアルゴリズムを組み合わせることで、痛みの軽減を実現できることが発表された。米国マサチューセッツ総合病院のMihir M. Kamdar氏らのグループが、米国サンディエゴで開催されたASCOがん苦痛緩和と看護に関するシンポジウム(2018 Palliative and Supportive Care in Oncology Symposium)で報告した。

痛みモニタリングによる患者主体的な判定をAIによる緊急性判断で対応を連携

その報告は8週間にわたる無作為化比較試験の結果で、研究グループは、がん性疼痛を有する転移性固形がん患者に人工知能(AI)を搭載したスマートフォンアプリ「ePAL」を利用してもらった結果、ePALを利用せずに従来の緩和ケアで対応した患者集団よりも痛みの重症度が低下し、治療に対する後向きの気持ちが改善、不安の度合いが減少するとともに、重症化による入院頻度も減少したというものである。

同試験の解析対象は計112例で、ePALユーザー群が56例、非ユーザー群が56例。ePALユーザー群の患者は、ePALに従って痛みのレベルを週3回報告した。報告された痛みについて、ePALで連動するAIが緊急性の有無を判断し、場合によっては、リアルタイムで患者に有用情報を提供、あるいは助言することもできる。痛みが深刻で、その後悪化する恐れがあるとAIが判断した場合は、ePALが患者と担当の医療者をつなぎ、看護師などが1時間以内に対応可能とするようアラートを発信する。また、全被験者を対象とし、治療に対する意識調査(BQ-II)、全般的不安に関する調査(GAD-7)を試験開始時、開始後4週目、および8週目に実施した。

報告する痛みスコアは0から10で、スコア10が最も強い痛みを示す。自己申告で1ポイント低下すれば有意な軽減とみなすことができる。試験開始時の痛みスコアは、ePALユーザー群、非ユーザー群ともに同程度で、およそ4であった。試験終了時の8週目では、非ユーザー群は開始時の痛みスコアからほとんど変化していなかったのに対し、ePALユーザー群では2.99まで低下し、痛みが20%軽減したことが示された。ユーザー群と非ユーザー群との統計学的比較解析で有意差を達成した(p=0.034)。

さらに、試験期間中の入院患者数はePALユーザー群が4例、非ユーザー群が20例と、ユーザー群の方が大幅に少なく、患者1例当たりで計算すると、ePALユーザー群ではがん性疼痛を理由とする入院リスクが69%低下すると算出された。

不安スコアは21点満点で、低いほど不安度が強い。ePALユーザー群は6.67点から7.68点へと不安解消の方向に動いたが、非ユーザー群では5.9点から5.03点へと不安度が増した。これについて研究グループは、非ユーザー群は痛みについてただ尋ねられただけで不安を感じてしまう可能性を指摘している。ePALユーザー群の場合は、アプリを通して少なくとも週に2回以上は自身の痛みを冷静に判断して報告しているため、不安度が増さなかったのではないかと考えられた。ユーザー群と非ユーザー群との統計学的比較解析で有意差を達成した(p=0.015)。

今後研究グループは、AI遠隔医療のより安定した技術基盤を構築し、新たに臨床試験を実施する計画だという。

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