この記事の3つのポイント
・進行性食道がん患者対象の第3相の試験
・2次治療としてのキイトルーダ単剤療法の有効性を検証
・化学療法よりも全生存期間を改善し、新しい標準治療になり得る可能性
2019年1月17日~1月19日に米国・サンフランシスコで開催された消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2019)にて、進行性食道がん患者に対する2次治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性を検証した第3相のKEYNOTE-181試験(NCT02564263)の結果が国立がん研究センター東病院の小島 隆嗣氏らにより公表された。
KEYNOTE-181試験とは、進行性食道がん患者に対する2次治療として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を投与する群、または主治医選択により化学療法(ドセタキセル、パクリタキセル、またはイリノテカン)を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1陽性(CPS ≥10)群における全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、安全性などを比較検証した第3相試験である。
本試験が実施された背景として、1次治療後に病勢進行した進行性食道がん患者の予後は不良であり、2次治療以降の治療選択肢が限られているためである。以上の背景より、進行性食道がん患者に対する2次治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダの有用性が本試験より検証された。
本試験のフォローアップ期間中央値(キイトルーダ群7.1ヶ月、化学療法群6.9ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目であるPD-L1陽性群における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群の9.3ヶ月に対して主治医選択により化学療法群は6.7ヶ月で、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを31%(HR:0.69,95%信頼区間:0.52-0.93,P=0.0074)統計学的有意に減少した。
また、ITT(intention to treat)群における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群7.1ヶ月に対して
主治医選択により化学療法群7.1ヶ月、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを11%(HR:0.89,95%信頼区間:0.75-1.05,P=0.0560)減少するも両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群64%に対して主治医選択により化学療法群86%、グレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群18%に対して主治医選択により化学療法群41%であった。
以上のKEYNOTE-181試験の結果より小島 隆嗣氏らは以下のように結論を述べている。”PD-L1陽性進行性食道がん患者に対する2次治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は化学療法よりも全生存期間(OS)を改善し、新しい標準治療になり得る可能性が本試験より示唆されました。”
・2次治療としてのキイトルーダ単剤療法の有効性を検証
・化学療法よりも全生存期間を改善し、新しい標準治療になり得る可能性