月1回の高用量ビタミンD摂取はがんの発症リスクを軽減しないJAMA Oncology


  • [公開日]2019.01.11
  • [最終更新日]2019.01.11
この記事の3つのポイント
・ビタミンDの摂取量とがん発症リスクの関係性についての5000人以上の大規模比較試験
・ニュージーランドにて月1回の通常の約450倍のビタミンD投与群とプラセボ群のがん発症率を比較
・月1回のビタミンD摂取ではがん発症のリスクを軽減する効果はない

2018年11月8日、医学誌『JAMA Oncology』にて高用量ビタミンDの摂取量とがん発症リスクの関係性についてを検証したランダム化比較試験(ACTRN12611000402943)の結果がUniversity of Auckland・Robert Scragg氏らにより公表された。

本試験は2011年4月5日より2012年11月6日の間で開始され、ニュージーランド・オークランドの50歳から84歳までの被験者5,110人を月1回ビタミンDを100,000IU(初回は200,000IU)投与する群(N=2,558人)、またはプラセボを投与する群(N=2,552人)に無作為に振り分け、がんの発症率を比較検証した二重盲検下の無作為化試験である。

なお、ビタミンDの1IUは0.025マイクログラムであるため、100,000IUは2.5ミリグラムということである。参考までに、厚労省による日本人のビタミンDの食事摂取基準は5.5マイクログラムとなっており、約450倍である。

本試験が実施された背景として、既存のビタミンD摂取量とがん発症リスクの関係性を検証した臨床試験にて、一貫した研究結果が出ていないためである。そこで、本試験によりビタミンDによるがん発症の抑制効果を検証することを目的にした大規模試験が実施された。

本試験に登録された被験者の背景は以下の通りである。

年齢中央値65.9歳。
・性別は男性58.1%、女性41.9%。
・人種はヨーロッパ83.3%。

以上の背景を有する被験者に対して、ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD)は26.5ng/mLを与えた。

結果は以下の通りである。

本試験にてがんを発症した被験者は計328人、ビタミンD群6.5%(N=165人)に対してプラセボ群6.5%(N=165人)であった。そして、プラセボ群に比べてビタミンD群でがん発症のリスクが1%増加(HR:1.01,95%信頼区間:0.81-1.25,P=0.95)し、両群間で統計学有意な差は確認されなかった。

以上のランダム化比較試験の結果よりRobert Scragg氏らは以下のように結論を述べている。“月1回のビタミンD摂取ではがん発症のリスクを軽減する効果がないことが本試験により確認されました。今後は、毎日、週1回など摂取の頻度を変更し、ビタミンDとがん発症リスクの関係性について検証していく必要があるでしょう。”

Monthly High-Dose Vitamin D Supplementation and Cancer RiskA Post Hoc Analysis of the Vitamin D Assessment Randomized Clinical Trial

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