進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するキイトルーダ+ペグインターフェロンα-2b併用療法、客観的奏効率60.5%を示す医学誌『Journal of Clinical Oncology』より


  • [公開日]2018.11.28
  • [最終更新日]2020.03.11
この記事の3つのポイント
・抗PD-1抗体薬治療歴のない悪性黒色腫患者を対象とした第I/II相試験
キイトルーダ+ペグイントロン併用療法安全性有効性を検証した
忍容性も良好であり、抗腫瘍効果も十分認められた

2018年10月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+ペグインターフェロンα-2b製剤であるペグイントロン併用療法の有効性を検証した第I/II相のKEYNOTE-020試験(NCT02112032)の結果がUniversity of Pittsburgh Medical Center・Hassane M. Zarour氏らにより公表された。

本試験は、抗PD-1抗体薬治療歴のないステージIV悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=43人)に対して3週間に1回キイトルーダ2mg/kg+1週間に1回ペグイントロン1~3μg/kg併用療法を投与し、主要評価項目として第I相段階では第II相推奨用量(RPIID)、第II相段階では客観的奏効率ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証した第I/II相試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65歳(44-80歳)。性別は男性60.5%(N=26人)、女性39.5%(N=17人)。ECOG Performance Statusはスコア0が81.4%(N=35人)、スコア1が18.6%(N=8人)。

原発巣腫瘍部位は皮膚76.7%(N=33人)、粘膜7.0%(N=3人)、不明16.3%(N=7人)。遺伝子変異ステータスはBRAF遺伝子変異32.6%(N=14人)、NRAS遺伝子変異13.5%(N=5人)。PD-L1ステータスはPD-L1陽性73.3%(N=11人)、PD-L1陰性26.7%(N=4人)。前治療歴は0レジメン69.8%(N=30人)、1レジメン18.6%(N=8人)、2レジメン7.0%(N=3人)、3レジメン以上4.7%(N=2人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。10%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)はグレード1の低ナトリウム血症11.1%、グレード2のリンパ球減少症10.8%、グレード3の低ナトリウム血症10.3%、グレード3のリンパ球減少症12.0%、グレード3の疲労16.2%。

また、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は48.8%(N=21人)、治療関連有害事象(TRAE)により死亡は確認されなかった。以上の安全性の結果より、第I相段階の主要評価項目である第II相推奨用量(RPIID)はキイトルーダ2mg/kg+ペグイントロン3μg/kgに決定した。

第II相段階での主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は 60.5%(N=26/43人)、その内訳としては完全奏効(CR)4.7%(N=2人)、部分奏効(PR)55.8%(N=24人)を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は11ヶ月(95%信頼区間:6ヶ月-未到達)、6ヶ月無増悪生存率(PFS)64%、12ヶ月無増悪生存率(PFS)46%、24ヶ月無増悪生存率(PFS)46%を示した。

以上のKEYNOTE-020試験の結果より、Hassane M. Zarour氏らは以下のように結論を述べている。”抗PD-1抗体薬治療歴のない進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するキイトルーダ+ペグイントロン併用療法は忍容性が良好であり、抗腫瘍効果も十分です。”

Phase Ib/II Study of Pembrolizumab and Pegylated-Interferon Alfa-2b in Advanced Melanoma(DOI: 10.1200/JCO.18.00632 Journal of Clinical Oncology)

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