転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対する抗Trop-2抗体薬物複合体Sacituzumab govitecan、客観的奏効率(ORR)33%を示すサンアントニオ乳がんシンポジウム2018(SABCS2018)


  • [公開日]2018.12.28
  • [最終更新日]2019.02.15
この記事の3つのポイント
・複数治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がん患者対象の第Ⅱ相試験
・サシツズマブ ゴビテカン単剤療法有効性安全性を比較検証
・高い抗腫瘍効果が確認され治療選択肢になり得る

2018年12月4日より8日まで米国・テキサス州・サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳がんシンポジウム2018(SABCS2018)にて、複数治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対する抗Trop-2抗体薬物複合体であるサシツズマブゴビテカン単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第Ⅱ相試験の結果がNewYork-Presbyterian Hospital・Kevin Kalinsky氏らにより公表された。

本試験は、複数治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がん患者(N=108人)に対してサシツズマブゴビテカン単剤療法を投与し、評価項目として客観的奏効率ORR)、臨床的有用率CBR;CR+PR+6ヶ月以上のSD)などを検証した第Ⅱ相試験である。

本試験の結果、治験医師判断による客観的奏効率は33%(N=36/108人)を示し、奏効の内訳としては完全奏効率3%(N=3人)、部分奏効率31%(N=33人)を示した。また、臨床的有用率は45%(N=49人)を示し、奏効持続期間中央値は7.7ヶ月を示した。

なお、独立評価委員会による客観的奏効率は34%(N=37/108人)を示し、奏効の内訳としては完全奏効率7%(N=7人)、部分奏効率28%(N=30人)を示した。また、奏効持続期間中央値は8.3ヶ月を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象は消化器系障害、好中球減少症であったが、いずれも管理可能なグレードのものであった。なお、本試験の治療関連有害事象は既存の臨床試験で確認されているサシツズマブゴビテカンの安全性プロファイルと一致しており、新たに確認されたものはなかった。

以上の第Ⅱ相試験の結果より、Kevin Kalinsky氏らは以下のように結論を述べている。“前治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がん患者は、既存の化学療法に対して高い奏効を示さないため、非常にアンメットメディカルニーズが高いです。本試験によりサシツズマブゴビテカン単剤療法の高い抗腫瘍効果が確認されましたので、本患者の治療選択肢になり得るでしょう。”

Updated Phase 2 Results in Metastatic Triple-Negative Breast Cancer to be Presented at The 2018 San Antonio Breast Cancer Symposium (SABCS) Continue to Show Meaningful Clinical Benefit Consistent with Prior Results Pivotal Randomized Study in Hormone Receptor-Positive (HR+)/Human Epidermal Growth Factor Receptor 2-Negative (HER2–) Metastatic Breast Cancer (mBC)

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