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非小細胞肺がん患者における自己免疫マーカーの発現が免疫関連副作用やオプジーボ、キイトルーダの有用性と関連『JAMA Oncology』より


  • [公開日]2018.12.27
  • [最終更新日]2019.03.27
この記事の3つのポイント
・自己免疫マーカーの発現免疫関連副作用や抗PD-1抗体薬の効果を検証する試験が行われた
・対象はオプジーボキイトルーダによる治療を受けた非小細胞肺がん患者だった
・自己免疫マーカーの発現は免疫関連副作用発症、抗PD-1抗体薬の有用性の指標となる可能性が示唆された

2018年12月27日、医学誌『JAMA Oncology』にて抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)による治療を受けた非小細胞肺がん患者における治療前の自己免疫マーカーの発現と免疫関連副作用(irAE)、抗PD-1抗体薬の臨床的有用性の関連性を検証したレトロスペクティブ試験の結果が仙台厚生病院・呼吸器センター呼吸器内科・戸井之裕氏らにより公表された。

本試験は、2016年1月より2018年1月までに仙台厚生病院にて2週間に1回オプジーボ3mg/kgまたは3週間に1回キイトルーダ200mg単剤療法の治療を受けた非小細胞肺がん患者(N=137人)を対象に、自己免疫マーカーであるリウマトイド因子、抗核抗体、抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の治療前の発現有無により客観的奏効率ORR)、免疫関連副作用(irAE)発症率、無増悪生存期間PFS)などの違いがあるかどうかを検証したレトロスペクティブ試験である。なお、各自己免疫マーカーの陽性基準値はリウマトイド因子15IU/mL以上、抗核抗体1:40以上、その他は発現が確認された場合に陽性と判定される。

本試験が実施された背景として、抗PD-1抗体薬の臨床的有用性は免疫関連副作用(irAE)の発現と関連性があることが示されているが、免疫関連副作用(irAE)の発現は抗PD-1抗体薬により治療を中止せざるを得ない場合があるためである。

抗PD-1抗体薬の有用性を予測するバイオマーカーが免疫関連副作用(irAE)の発現であるにも関わらず、現在のところ免疫関連副作用(irAE)を事前に予測し、早期介入を実現するバイオマーカーは特定されていない。そこで本試験では、自己免疫マーカーであるリウマトイド因子、抗核抗体、抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の治療前の発現有無と免疫関連副作用(irAE)、抗PD-1抗体薬の臨床的有用性の関係性が検証された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は68歳(36-88歳)。性別は男性77%(N=105人)、女性23%(N=32人)。治療を受けた抗PD-1抗体薬の種類はオプジーボ99人、キイトルーダ38人。ECOG Performance Statusはスコアが0もしくは1が98%(N=134人)。

肺がんの組織型分類は扁平上皮がん37%(N=51人)、非扁平上皮がん63%(N=86人)。前治療歴は0レジメンが13%(N=18人)、1レジメンが45%(N=62人)、2レジメンが18%(N=24人)、3レジメン以上が24%(N=33人)。PD-L1発現率は50%以上が20%(N=27人)、1%以上50%未満が22%(N=30人)、1%未満が11%(N=15人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。客観的奏効率(ORR)はいずれかの自己免疫マーカー陽性群41%(N=33/80人)に対して陰性群18%(N=10/57人)、いずれかの自己免疫マーカー陽性群で客観的奏効率(ORR)は統計学有意に高率であった(P=0.006)。なお、リウマトイド因子、抗核抗体、抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の各々の発現の有無における客観的奏効率(ORR)の違いは検証されなかった。

病勢コントロール率DCR)はいずれかの自己免疫マーカー陽性群81%(N=65/80人)に対して陰性群54%(N=31/57人)、いずれかの自己免疫マーカー陽性群で病勢コントロール率(DCR)は統計学有意に高率であった(P=0.001)。なお、リウマトイド因子、抗核抗体、抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の各々の発現の有無における病勢コントロール率(DCR)の違いは検証されなかった。

免疫関連副作用(irAE)発症率はいずれかの自己免疫マーカー陽性群60%(N=48/80人)に対して陰性群32%(N=18/57人)、いずれかの自己免疫マーカー陽性群で免疫関連副作用(irAE)発症率は統計学有意に高率であった(P=0.002)。また、リウマトイド因子陽性群68%(N=26/38人)に対して陰性群40%(40/99人)、リウマトイド因子陽性群で免疫関連副作用(irAE)発症率は統計学有意に高率であった(P=0.006)。なお、抗核抗体、抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の各々の発現の有無における免疫関連副作用(irAE)発症率の違いは検証されなかった。

無増悪生存期間(PFS)中央値はいずれかの自己免疫マーカー陽性群6.5ヶ月(95%信頼区間:4.4-12.9ヶ月)に対して陰性群3.5ヶ月(95%信頼区間:2.4-4.1ヶ月)、いずれかの自己免疫マーカー陽性群で病勢進行または死亡のリスクを統計学有意に47%減少した(HR:0.53,9%信頼区間:0.36-0.79,P=0.002)。また、リウマトイド因子陽性群10.1ヶ月(95%信頼区間:4.4-15.2ヶ月)に対して陰性群3.7ヶ月(95%信頼区間:3.2-5.4ヶ月)、リウマトイド因子陽性群で病勢進行または死亡のリスクを統計学有意に39%減少した(HR:0.61,9%信頼区間:0.38-0.97,P=0.04)。なお、抗核抗体、抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の各々の発現の有無における無増悪生存期間(PFS)の違いは検証されなかった。

以上のレトロスペクティブ試験の結果より戸井之裕氏らは以下のように結論を述べている。”抗PD-1抗体薬による治療を受けた非小細胞肺がん患者において、自己免疫マーカーであるリウマトイド因子、抗核抗体、抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体などの発現有無は免疫関連副作用(irAE)発症、抗PD-1抗体薬の臨床的有用性を予測する指標になる可能性が示唆されました。”

Profiling Preexisting Antibodies in Patients Treated With Anti–PD-1 Therapy for Advanced Non–Small Cell Lung Cancer(JAMA Oncol. 2019;5(3):376-383. doi:10.1001/jamaoncol.2018.5860)

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