・がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)への適応拡大
・悪性黒色腫の術後補助療法としての適応拡大
・悪性黒色腫について、固定用量への用法・用量の変更
・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大
・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大
・PD-L1陽性(TPS*1≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大
*1: TPS:Tumor Proportion Score 腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合
非小細胞肺がんに対する情報は別記事を参照
今回の承認取得事項は、いずれも厚生労働省による優先審査の対象となっていた。
「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」への適応拡大については医薬品の条件付き早期承認制度の適用を、悪性黒色腫に関する適応拡大については希少疾病用医薬品の指定をそれぞれ受け、優先審査のもとで承認となった。
高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がんへの適応拡大
今回、「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん」に適応拡大されたが、遺伝子特徴に対する適応であり、がん種横断的に使用できるようになるのは今回が初。 一部のがんの遺伝特性として「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)」が存在する。がんは遺伝子の傷により生じることがわかっており、遺伝子は様々なストレスにより傷ついているが、常にこの傷は修復されるために、滅多にがん化することはない。 この遺伝子を修復する機構の一種にDNAミスマッチ修復機構(MMR)が存在しする。しかしながら、この機構が欠損することを「ミスマッチ修復機構欠損(Mismatch Repair Deficient;dMMR)」といい、がん化のリスクは上がる。 マイクロサテライト不安定性とは、遺伝子に傷が生じたとき(遺伝子複製のミス)の修復機構に欠損があるため、遺伝子に複数の傷が生じている状態のことを指す。遺伝的にこの修復機構が欠損しているがんの場合をリンチ症候群といい、家族性大腸がんの一種と位置づけられる一方、その他の固形がんでもごく低い割合で存在する。