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閉経後エストロゲン受容体陽性早期乳がん患者に対する術前化学療法としてのイブランス+レトロゾール併用療法、客観的奏効率の有意差は確認されずJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2018.12.06
  • [最終更新日]2019.03.27
この記事の3つのポイント
・閉経後のエストロゲン受容体陽性早期乳がん患者対象の第2相のPALLET試験
・レトロゾールとイブランスの単剤、併用療法の客観的奏効率Ki67値の変化率を比較
・イブランスはKi67値を統計学有意に減少、客観的奏効率の統計学有意な差は確認できず

2018年12月6日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて閉経後のエストロゲン受容体陽性早期乳がん患者に対する術前化学療法としてのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬であるパルボシクリブ(商品名イブランス;イブランス)+レトロゾール併用療法の有効性を比較検証した第2相のPALLET試験(NCT02296801)の結果がThe Royal Marsden NHS Foundation TrustのStephen Johnston氏らにより公表された。

PALLET試験とは、閉経後のエストロゲン受容体陽性早期乳がん患者(N=307人)に対する術前化学療法として1日1回レトロゾール2.5mg単剤療法を14週間投与する群(グループA,N=103人)、または1日1回イブランス125mg+1日1回レトロゾール2.5mg併用療法を14週間投与後にレトロゾール単剤療法を2週間投与する群(グループB,N=68人)、または1日1回イブランス125mg+1日1回レトロゾール2.5mg併用療法を14週間投与後に1日1回イブランス125mg単剤療法を2週間投与する群(グループC,N=69人)、または1日1回イブランス125mg+1日1回レトロゾール2.5mg併用療法を14週間投与する群(グループD,N=67人)に3対2対2対2の割合で振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、ベースライン時点より14週間後の腫瘍増殖マーカーであるKi67値の変化率を比較検証した多施設共同の第2相試験である。

本試験が実施された背景として、エストロゲン受容体陽性早期乳がん患者に対する術前化学療法は乳房温存の可能性を高める有効な選択肢であるが、他のサブタイプの乳がんに比べると臨床的完全寛解率(CCR)の達成が困難である。そこで本試験では、他のホルモン療法に比べて有効性の高さが示唆されているサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬であるイブランスのエストロゲン受容体陽性早期乳がん患者に対する術前化学療法としての有用性が検証された。

本試験に登録された患者背景は以下の通りである。

年齢中央値

グループA群=65.8歳(59.4-72.0歳)
グループB群=66.3歳(60.4-72.5歳)
グループC群=63.8歳(58.5-69.1歳)
グループD群=64.4歳(59.5-71.1歳)

腫瘍のグレード分類

グループA群=Lowが12.6%、Intermediateが68.0%、Highが18.5%
グループB群=Lowが8.8%、Intermediateが79.4%、Highが10.3%
グループC群=Lowが5.8%、Intermediateが75.4%、Highが18.8%
グループD群=Lowが13.4%、Intermediateが76.1%、Highが10.5%

乳がんの種類

グループA群=乳管71.8%、小葉23.3%、乳管/小葉3.9%、粘液1.0%
グループB群=乳管72.1%、小葉20.6%、乳管/小葉1.5%、粘液5.9%
グループC群=乳管66.7%、小葉27.5%、乳管/小葉5.8%、粘液0%
グループD群=乳管67.2%、小葉26.9%、乳管/小葉3.0%、粘液3.0%

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は以下の通りである。

主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はグループA群49.5%、グループB群49.2%、グループC群57.4%、グループD群56.4%、レトロゾール単剤群(グループA)に対するイブランスベースの治療群(グループB~D)の客観的奏効率(ORR)の統計学有意な差は確認されなかった。

また、もう1つの主要評価項目であるベースライン時点より14週間後のKi67値の変化率はグループA群-2.2(IQR:-3.4~-1.0)、グループB群-4.1(IQR:-5.1~-2.7)、グループC群-4.0(IQR:-5.1~-3.0)、グループD群-3.9(IQR:-5.0~-2.9)、レトロゾール単剤群(グループA)に比べてイブランスベースの治療群(グループB~D)でベースライン時点より14週間後のKi67値は統計学有意に減少を示した。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はレトロゾール単剤群(グループA)で高血圧8.0%、下痢1.0%、痛み1.0%に対してイブランスベースの治療群(グループB~D)で好中球数減少40.8%、白血球数減少6.0%、高血圧4.5%、ALT上昇4.0%、倦怠感2.0%、口内炎1.0%、関節痛0.5%。レトロゾール単剤群(グループA)に比べてイブランスベースの治療群(グループB~D)でグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は高率であった(P<0.001)。

以上のPALLET試験の結果よりStephen Johnston氏らは以下のように結論を述べている。“閉経後のエストロゲン受容体陽性早期乳がん患者に対する術前化学療法としてのイブランスベースの治療法は、レトロゾール単剤療法に比べて腫瘍増殖マーカーであるKi67値を統計学有意に減少しましたが、両群間で客観的奏効率(ORR)の統計学有意な差は確認されませんでした。”

Randomized Phase II Study Evaluating Palbociclib in Addition to Letrozole as Neoadjuvant Therapy in Estrogen Receptor–Positive Early Breast Cancer: PALLET Trial(JCO, Published online December 06, 2018.)

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