2018年12月1日より4日まで米国・サンディエゴで開催されていた第60回米国血液学会(ASH)、また2018年12月3日の医学誌『The Lancet Oncology』にて、未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者に対するファーストライン治療としてのBTK阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;以下イムブルビカ)+抗CD20モノクローナル抗体薬であるオビヌツズマブ(商品名ガザイバ;以下ガザイバ)併用療法有効性を比較検証した第III相のiLLUMINATE試験(NCT02264574)の結果がHospital de la Santa Creu Sant Pau・Carol Moreno氏らにより公表された。

iLLUMINATE試験とは、未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者(N=229人)に対して28日を1サイクルとして1日1回イムブルビカ420mg+1日目に1回ガザイバ1000mg(1サイクル目は1日目に1回ガザイバ100mg、2日目に1回ガザイバ900mg、8日目に1回ガザイバ1000mg、15日目に1回ガザイバ1000mg)を6サイクル投与する群(N=113人)、または28日を1サイクルとして1、15日目にクロラムブシル0.5mg/kg+1日目に1回ガザイバ1000mg(1サイクル目は1日目に1回ガザイバ100mg、2日目に1回ガザイバ900mg、8日目に1回ガザイバ1000mg、15日目に1回ガザイバ1000mg)を6サイクル投与する群(N=116人)に分けて、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)などを比較検証した国際多施設共同無作為化の第III相試験である。

本試験が実施された背景として、65歳以上の慢性リンパ性白血病患者に対する標準治療としてイムブルビカ単剤療法、またはクロラムブシル+ガザイバ併用療法の有効性がそれぞれ第III相試験の結果より証明されている。しかし、両療法を直接比較した臨床試験は現時点で存在しない。そこで、本試験では化学療法フリーの治療レジメンとしてのイムブルビカ+ガザイバ併用の有効性を検証するために実施された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値はイムブルビカ+ガザイバ併用群70歳(66-75歳)に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群72歳(66-77歳)。性別はイムブルビカ+ガザイバ併用群で男性59%、女性41%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群で男性68%、女性32%。

ECOG Performance Statusはイムブルビカ+ガザイバ併用群でスコア0が50%、スコア1が46%、スコア2が4%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群でスコア0が46%、スコア1が48%、スコア2が6%。病名診断はイムブルビカ+ガザイバ併用群で慢性リンパ性白血病95%、小リンパ球性リンパ腫5%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群で慢性リンパ性白血病92%、小リンパ球性リンパ腫8%。

Rai分類による病期はイムブルビカ+ガザイバ併用群でステージIII/IV期で53%対してクロラムブシル+ガザイバ併用群ステージIII/IV期で51%。ハイリスク遺伝子異常はイムブルビカ+ガザイバ併用群でDel17pまたはTP53遺伝子変異陽性16%、Del17p遺伝子変異陽性12%、TP53遺伝子変異陽性12%、Del11q遺伝子変異陽性12%、IgVH遺伝子変異陰性62%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群でDel17pまたはTP53遺伝子変異陽性20%、Del17p遺伝子変異陽性16%、TP53遺伝子変異陽性15%、Del11q遺伝子変異陽性19%、IgVH遺伝子変異陰性53%。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はイムブルビカ+ガザイバ併用群未到達(95%信頼区間:33.6ヶ月-未到達)に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群19.0ヶ月(95%信頼区間:15.1-22.1ヶ月)、イムブルビカ+ガザイバ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを77%統計学有意に減少した(HR:0.23,95%信頼区間:0.15-0.37,P<0.0001)。また、30ヶ月無増悪生存率(PFS)はイムブルビカ+ガザイバ併用群79%(95%信頼区間:70%-85%)に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群31%(95%信頼区間:23%-40%)を示した。

また、ハイリスク患者群(Del17p遺伝子変異陽性、TP53遺伝子変異陽性、Del11q遺伝子変異陽性、IgVH遺伝子変異陰性)における無増悪生存期間(PFS)中央値はイムブルビカ+ガザイバ併用群未到達(95%信頼区間:未到達)に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群14.7ヶ月(95%信頼区間:12.4-16.9ヶ月)、イムブルビカ+ガザイバ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを85%統計学有意に減少した(HR:0.15,95%信頼区間:0.09-0.27,P<0.0001)。また、30ヶ月無増悪生存率(PFS)はイムブルビカ+ガザイバ併用群77%(95%信頼区間:66%-86%)に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群16%(95%信頼区間:8%-25%)を示した。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はイムブルビカ+ガザイバ併用群88%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群73%。また、完全寛解率(CRR)はイムブルビカ+ガザイバ併用群19%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群8%。奏効持続期間(DOR)中央値はイムブルビカ+ガザイバ併用群未到達(95%信頼区間:29.7ヶ月-未到達)に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群18.1ヶ月(95%信頼区間:15.2ヶ月-未到達)を示した。

また、ハイリスク患者群における客観的奏効率(ORR)はイムブルビカ+ガザイバ併用群90%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群68%。また、完全寛解率(CRR)はイムブルビカ+ガザイバ併用群14%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群4%。奏効持続期間(DOR)中央値はイムブルビカ+ガザイバ併用群未到達(95%信頼区間:未到達)に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群11.8ヶ月(95%信頼区間:10.4-15.9ヶ月)を示した。

一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はイムブルビカ+ガザイバ併用群68%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群70%、両群間でほぼ同等であった。主なグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)はイムブルビカ+ガザイバ併用群で好中球減少症、血小板減少性、肺炎、心房細動に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群で好中球減少症、血小板減少性、インフュージョンリアクション、貧血、発熱性好中球減少症であった。

以上のiLLUMINATE試験の結果よりCarol Moreno氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者に対するファーストライン治療としてのイムブルビカ+ガザイバ併用療法は、化学療法を必要としない治療レジメンであり、ハイリスク異常の有無に関係なく無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に延長しました。”

Ibrutinib plus obinutuzumab versus chlorambucil plus obinutuzumab in first-line treatment of chronic lymphocytic leukaemia (iLLUMINATE): a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial(Lancet)

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