進行性腎細胞がん患者に対する初回治療としての抗PD-L1抗体薬バベンチオ+インライタ併用が無増悪生存期間を統計学有意に改善欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)


  • [公開日]2018.11.06
  • [最終更新日]2019.04.17
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腎細胞がんの初回治療に対する免疫チェックポイント阻害薬+α療法
PD-L1抗体バベンチオインライタの併用が有効
病態進行リスクを31%減少

2018年10月19日~23日までドイツ・ミュンヘンで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)にて未治療の進行性腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるアベルマブ(商品名バベンチオ;以下バベンチオ)+チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるアキシチニブ(商品名インライタ;以下インライタ)併用療法有効性を比較検証した第III相のJAVELIN Renal 101試験(NCT02684006)の結果が公表された。

JAVELIN Renal 101試験とは、未治療の進行性腎細胞がん患者(N=886人)に対してファーストライン治療として2週間に1回バベンチオ10mg/kg+1日2回アキシチニブ5mg併用療法を投与する群(N=442人)、または1日1回スーテント50mgを4週間連日経口投与し、その後2週間休薬する群(N=444人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1発現率陽性患者群における無増悪生存期間PFS)、PD-L1発現率陽性患者群における全生存期間OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)などを比較検証した国際多施設共同の第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるPD-L1発現率陽性患者群(PD-L1≧1%)における無増悪生存期間(PFS)中央値はバベンチオ+アキシチニブ群13.8ヶ月に対してスーテント単剤群7.2ヶ月、スーテント群に比べてバベンチオ+アキシチニブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学有意に39%減少(HR:0.61,P< .0001)した。

また、PD-L1発現率ステータスの有無に関係のない患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値はバベンチオ+アキシチニブ群13.8ヶ月に対してスーテント群8.4ヶ月、スーテント群に比べてバベンチオ+アキシチニブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学有意に31%減少(HR:0.69,P=.0001)した。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はバベンチオ+アキシチニブ群55.2%(95%信頼区間:49.9%-61.2%)に対してスーテント群25.5%(95%信頼区間:20.6%-30.9%)を示した。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はバベンチオ+アキシチニブ群71.2%に対してスーテント群71.5%。治療関連有害事象(TRAE)により治療中止に至った患者はバベンチオ+アキシチニブ群22.8%に対してスーテント群13.4%。

以上のJAVELIN Renal 101試験の結果より、Memorial Sloan Kettering Cancer Center・Robert Motzer氏は下記のようにコメントを述べている。”本試験は、未治療の進行性腎細胞がん患者に対するファーストライン治療として、抗PD-L1抗体薬であるバベンチオがスーテント単剤療法に優越性を示した初の第III相試験の結果になります。また、サブグループ解析より全ての患者において無増悪生存期間(PFS)の優越性が示されております。”

Avelumab plus axitinib significantly improve progression-free survival in untreated renal cell carcinoma [ESMO 2018 Press Release]

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