この記事の3つのポイント
転移性乳がんに対するCDK4/6阻害薬予後への改善効果
・試験全体では統計学的有意とはならず
・前治療感受性などに層別すると生存期間が有意に改善した

10月19日から23日までドイツ・ミュンヘンで開催されたESMO2018 でホルモン受容体HR)陽性乳がん、2次治療として、CDK4/6阻害薬パルボシクリブ(イブランス)とフルベストラント(フェソロデックス)の併用療法と、プラセボとフェソロデックス投与とを比較した第3相試験PALOMA-3の全生存期間が発表され、同日、医学誌The New England Journal of Medicineに掲載された。CDK4/6阻害薬のフェーズ3試験で全生存期間OSの解析結果が発表されたのは初のことである。

PALOMA-3試験の対象は、初回治療のホルモン療法後に増悪または再発した転移が認められた乳がん患者となり、閉経後の場合、アロマターゼ阻害薬の投与を受けても進行した患者であった。

イブランスとフェソロデックス投与群の347人は、イブランスを4週間1サイクルとして3週間毎日125mg、フェソロデックス500mgを1サイクル目は1日目と15日目に筋肉内投与、その後は28日を1サイクルとして1日目に投与した。プラセボとフェソロデックスを投与した対照群は174人。閉経前の患者と閉経周辺期の患者にはLH-RHアゴニストであるゴセレリン(ゾラデックス)も投与された。

PALOMA-3試験の結果では、イブランスとフェソロデックスの併用療法がフェソロデックス単剤投与よりも主要評価項目である無増悪生存期間を有意に延長することがすでに報告されている。最終的な無増悪生存期間中央値は、イブランスとフェソロデックス投与群が11.2カ月、プラセボとフェソロデックス投与群が4.6カ月で、6.6カ月の差が示された。

今回発表されたのは全生存期間結果となり、患者全体におけるイブランスとフェソロデックス投与群の全生存期間中央値は34.9カ月、プラセボとフェソロデックス投与群は28.0カ月。6.9カ月の延長が認められたが、ハザード比は0.81(95% CI, 0.64-1.03; P=0.09)と統計学的有意ではなかった。しかしながら、生存の差は臨床試験開始から1年目あたりからイブランスとフェソロデックス投与群の効果が差か出し始め、1年半以降でプラセボとフェソロデックスとの効果の差は大きくなっており、統計学的に有意な差ではなかったが、パルボシクリブとフルベストラント併用群は全生存期間を大きく改善した。

層別解析結果は以下の通り。

前治療で内分泌療法有効性を示した患者
転移がんに対する1レジメン以上のホルモン療法で治療ベネフィットが得られているか、再発前の術後補助ホルモン療法の期間が24カ月以上)を対象にした解析で、イブランスとフェソロデックス投与群(274人)の全生存期間中央値は39.7カ月、プラセボとフェソロデックス投与群(136人)は29.7カ月。差は10ヶ月だった。前治療で内分泌療法に有効性を示した患者では死亡リスクを28%有意に減少させた(ハザード比=0.72; 95% CI, 0.55-0.94)。

前治療で内分泌療法で有効性を示さなかった患者
イブランスとフェソロデックス投与群(73人)の全生存期間中央値は20.2カ月、プラセボとフェソロデックス投与群は26.2カ月。イブランスとフェソロデックス併用群で有効性を示すことができなかった(ハザード比=1.137; 95% CI, 0.71-1.84; P=0.12)。

その他の結果
無作為化から増悪後化学療法までの期間の中央値は、イブランスとフェソロデックス投与群が17.6カ月、プラセボとフェソロデックス投与群は8.8カ月(ハザード比=0.58; 95% CI, 0.47 to 0.73; P<0.001)。イブランスとフェソロデックス投与群で病勢憎悪後の化学療法までの期間は有意に長った。 無作為化から憎悪後に投与された治療終了までの期間の中央値は、イブランスとフェソロデックス投与群18.8カ月、プラセボとフェソロデックス投与群は14.1カ月(ハザード比=0.68; 95% CI, 0.56‐0.84; P<0.001)。イブランスとフェソロデックス投与群で憎悪後に投与された治療終了までの期間は有意に長かった。 なお、イブランスの投与は増悪後の標準治療の種類や効果に悪影響は与えなかった。 全生存期間でイブランスとフェソロデックス群は6.9カ月改善できたことが示された。さらに前治療で内分泌療法に感受性だった患者では、 プラセボとフェソロデックス群との間で10ヶ月差がついた。イブランスとフェソロデックスの併用が、既治療のホルモン受容体陽性、HER2陰性進行乳がんの標準治療で選択肢の1つであることが示された。

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