この記事の3つのポイント
・治療歴を有する胃がん患者対象の第1相試験結果
・キイトルーダにDKK1抗体薬DKN-01の併用
・奏効率は23.5%であった
2018年10月19日~23日までドイツ・ミュンヘンで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)にて複数治療歴のあり、かつ抗PD-1/PD-L1抗体薬の治療歴のない進行性胃がんまたは食道胃接合部がん患者に対する抗DKK1モノクローナル抗体薬であるDKN-01+抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)併用療法の安全性、有効性を検証した第I相試験(NCT02013154)の結果が公表された。なお、DDK1(Dickkopf1)はWntシグナル伝達経路の1つのである。
本試験は、複数治療歴のあるかつ抗PD-1/PD-L1抗体薬の治療歴のない進行性胃がんまたは食道胃接合部がん患者(N=17人)に対して21日を1サイクルとして1日目、15日目にDKN-01 150mg~300mg+1日目にキイトルーダ200mg併用療法を投与し、主要評価項目として治療関連有害事象(TRAE)発症率、副次評価項目として腫瘍縮小効果、客観的奏効率(ORR)などを検証した第I相試験である
本試験の結果、副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は部分奏効(PR)4人を含む23.5%を示した。また、その他奏効の内訳としては病勢安定(SD)6人、病勢進行(PD)7人を示した。病勢コントロール率(DCR)は58.8%を示した。
そして、サブグループ解析の結果、DKN-01+キイトルーダ併用療法により奏効を示した患者はマイクロサテライト不安定性のない(MSS)、PD-L1発現率陰性など、抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ単剤療法により奏効が期待のできない背景を有する患者であった。
参考までに、マイクロサテライト不安定性のない(MSS)進行性胃がんまたは食道胃接合部がん患者に対するキイトルーダ単剤療法の客観的奏効率(ORR)はKEYNOTE-059試験では9.0%、KEYNOTE-061試験では9.3%である。あなたは医師ですか。