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トリプルネガティブ乳がん患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリクとアブラキサン併用療法が有効

[公開日] 2018.10.22[最終更新日] 2018.10.22

この記事の3つのポイント ・トリプルネガティブ乳がんに対する待望の第3相試験結果 ・免疫チェックポイント阻害薬テセントリクと化学療法の併用 ・PD-L1陽性患者にて、生存期間9.5ヵ月延長、死亡リスクは38%減少
2018年10月19日~23日までドイツ・ミュンヘンで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)にて未治療の転移性または局所進行切除不能トリプルネガティブ乳がん患者に対するPD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)とナブパクリタキセル(商品名アブラキサン;以下アブラキサン)併用療法の有効性を比較検証した第III相のIMpassion130試験(NCT02425891)の結果が公表された。また、同日に、医学誌「The New England Journal of Medicine」に掲載された。 IMpassion130試験とは、未治療の転移性または局所進行切除不能トリプルネガティブ乳がん患者(N=902人)に対して28日を1サイクルとして1、15日目にテセントリク840mg+1、8、15日目にアブラキサン100mg/m2併用療法を投与する群、または28日を1サイクルとして28日を1サイクルとして1、15日目にプラセボ+1、8、15日目にアブラキサン100mg/m2併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)を比較検証した多施設共同二重盲検下の第III相試験である。 層別因子は、「術前補助療法または術後補助療法でタキサン系薬剤の治療を受けたもしくは受けていない」「臨床試験開始時の肝転移の有無」「PD-L1発現陽性もしくは陰性 」であった。 本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の結果はそれぞれ下記の通りである。ITT(Intent to treat)群における無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク群7.2ヶ月(95%信頼区間:5.6-7.5ヶ月)に対してプラセボ群5.5ヶ月(95%信頼区間:5.3-5.6ヶ月)、テセントリク群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学有意に20%減少(HR:0.80,95%信頼区間:0.69-0.92,P=0.0025)。 PD-L1発現率1%以上群における無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク群7.5ヶ月(95%信頼区間:6.7-9.2ヶ月)に対してプラセボ群5.0ヶ月(95%信頼区間:3.8-5.6ヶ月)、テセントリク群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学有意に38%減少(HR:0.62,95%信頼区間:0.49-0.78,P<0.0001)。 また、ITT(Intent to treat)群における全生存期間(OS)中央値はテセントリク群21.3ヶ月(95%信頼区間:17.3-23.4ヶ月)に対してプラセボ群17.6ヶ月(95%信頼区間:15.9-20.0ヶ月)、テセントリク群で死亡(OS)のリスクを16%減少(HR:0.84,95%信頼区間:0.69-1.02,P=0.0840)した。 PD-L1発現率1%以上群における全生存期間(OS)中央値はテセントリク群25.0ヶ月(95%信頼区間:22.6ヶ月-未到達)に対してプラセボ群15.5ヶ月(95%信頼区間:13.1-19.4ヶ月)、テセントリク群で死亡(OS)のリスクを38%減少(HR:0.62,95%信頼区間:0.45-0.86)した。 以上のように、無増悪生存期間(PFS)においてはITT(Intent to treat)群、PD-L1発現率1%以上群の両群で主要評価項目を達成し、全生存期間(OS)においては本解析時点では主要評価項目を達成しなかったがテセントリク群で改善傾向が示された。 副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はITT(Intent to treat)群ではテセントリク群56%(95%信頼区間:51%-61%)に対してプラセボ群46%(95%信頼区間:41%-51%)、PD-L1発現率1%以上群ではテセントリク群59%(95%信頼区間:51%-66%)に対してプラセボ群43%(95%信頼区間:35%-50%)を示した。 一方の安全性として、本試験で確認されたテセントリク+アブラキサン併用療法の治療関連有害事象(TRAE)は既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致していた。テセントリク+アブラキサンを投与した患者の15.9%、プラセボとナブパクリタキセルを投与した患者の8.2%が、いずれかの薬剤の投与を中止した有害事象が発生した。グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はテセントリク群で49%、プラセボ群で42%を示し、主な有害事象(AE)は好中球減少症8%、好中球数減少5%、末梢神経障害6%、倦怠感4%、貧血3%などであった。 以上のIMpassion130試験の結果を受けてエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社・最高医学責任者兼国際開発責任者であるSandra Horning氏は以下のようなコメントを述べている。”テセントリク+アブラキサン併用療法はトリプルネガティブ乳がん患者さんに対し推奨できる治療法である可能性が本試験より示唆されました。” Atezolizumab and Nab-Paclitaxel in Advanced Triple-Negative Breast Cancer(October 20, 2018 DOI: 10.1056/NEJMoa1809615) 文:山田 創 & 前原 克章
ニュース 乳がん NCT02425891

前原 克章

大学では英文科を専攻し、在学中に3度米国シカゴ大学へ留学。20年間医薬品・医療機器総合商社勤務。がん疾患の医療・治療にかかわって12年が経過。2018年4月から株式会社クロエへ転身、がん情報サイト「オンコロ」にも携わる。米国臨床腫瘍学会(ASCO)、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)、米国癌学会(AACR)、日本臨床腫瘍学会(JSMO)など会員。

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