2018年9月24日、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社プレスリリースにてROS1融合遺伝子陽性局所進行性転移性非小細胞肺がん患者に対するROS1/TRK阻害薬であるエントレクチニブ単剤療法の有効性を検証した第II相のSTARTRK-2試験、第I相のSTARTRK-1試験、ALKA試験の3試験の統合解析の結果が公表された。
STARTRK-1試験、STARTRK-2試験とは、NTRK1/2/3またはROS1融合遺伝子陽性進行性固形がん患者に対してエントレクチニブ単剤療法の安全性、有効性を検証した第I/II相試験。ALKA試験とは、ROS1融合遺伝子陽性進行性固形がん患者に対してエントレクチニブ単剤療法の安全性、有効性を検証した第I相試験である。
本試験が実施された背景として、非小細胞肺がん患者の約1から2%の患者でROS1融合遺伝子変異を有することが確認されたためである。さらに、ROS1融合遺伝子変異を有する患者の約30%から40%の患者で中枢神経系(CNS)に転移を有することが確認されている。以上の背景より、ROS1融合遺伝子陽性局所進行性転移性固形がん患者に対するROS1/TRK阻害薬エントレクチニブの有効性、安全性が検証された。
本試験の統合解析の結果、ROS1融合遺伝子陽性局所進行性転移性非小細胞肺がん患者に対するエントレクチニブ単剤療法の客観的奏効率(ORR)は77.4%を示した。また、奏効持続期間(DOR)中央値は24.6ヶ月を示した。さらに、中枢神経系(CNS)に転移を有する患者群における客観的奏効率(ORR)は55.0%、半数以上の患者で抗腫瘍効果を示した。
一方の安全性として、既存のエントレクチニブの安全性プロファイルと一致しており、本結果で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。
以上の統合解析の結果を受けて、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社・最高医学責任者兼国際開発責任者であるSandra Horning氏は下記のようにコメントを述べている。”本試験の結果、非小細胞肺がんの個別化医療はエントレクチニブにより促進される可能性が示唆されました。また、NTRK融合遺伝子は他の癌種でも確認されておりますので、非小細胞肺がん以外の癌種におけるエントレクチニブの有効性を検証できることを楽しみにしております。”
Roche Media Release