肥満は若年女性において早期大腸がん発症の独立したリスク因子であるJAMA Onocologyより


  • [公開日]2018.10.17
  • [最終更新日]2018.10.19
この記事の3つのポイント
・米国女性看護師85,256人を追跡したコホート研究結果
・50歳以下で大腸がんと診断された方と肥満の関係性を検証
・BMI30以上の方では大腸がん発がんリスクが1.33倍であった

2018年10月11日、医学誌『JAMA Oncology』にて50歳以下で大腸がんと早期診断された女性患者の発症リスクと肥満の関係性について前向きに検証した試験の結果がMassachusetts General Hospital and Harvard Medical School・Po-Hong Liu氏らにより公表された。

本試験は、米国の25歳から42歳の女性看護師85,256人を追跡したコホート研究Nurses’ Health Study(NHS)より、50歳以下で大腸がんと早期診断された女性患者の発症リスクと肥満の関係性を前向きに検証した試験である。

本試験に登録されたBMI別の主な患者背景は下記の通りである。なお、BMI値18.5-22.9群は普通体重I群、BMI値23.0-24.9群は普通体重II群、BMI値25.0-29.9群は肥満度I群、BMI値30.0以上群は肥満度II群として分けている。

年齢中央値は普通体重I群で39.7歳、普通体重II群で40.9歳、肥満度I群で41.7歳、肥満度I
I群で42.4歳。年齢18歳時のBMI値は普通体重I群で19.8、普通体重II群で20.8、肥満度I群で21.8、肥満度II群で24.7。年齢18歳時からの体重の変化は普通体重I群で+3.7kg、普通体重II群で+8.4kg、肥満度I群で+14.6kg、肥満度II群で+29.6kg等である。

以上の患者に対する本試験の結果、肥満は早期大腸がん発症の独立したリスク因子であることが示された。例えば、現在のBMI値で普通体重I群に比べた普通体重II群の早期大腸がん発症リスクは1.33倍(95%信頼区間:0.75-2.36)、肥満度I群は1.37倍(95%信頼区間:0.81-2.30)、肥満度II群は1.93倍 (95%信頼区間:1.15-3.25)であった。なお、家族に大腸がん罹患者のいない患者群、下部内視鏡検査を10年以内に実施していない患者群においても同様の結果が確認された。

また、年齢18歳時点におけるBMI値、体重増加別での早期大腸がん発症リスクも検証している。まず、年齢18歳時点におけるBMI値ではBMI値18.5-20.9群に比べてBMI値21.0-22.9群の早期大腸がん発症リスクは1.32倍(95%信頼区間:0.80-2.16)、BMI値23.0以上群は1.63倍(95%信頼区間:1.01-2.61)であった。

次に、年齢18歳時点よりも体重5kg以内減量した患者群に比べて体重20.0-39.9kg増加した患者群の早期大腸がん発症リスクは1.65倍(95%信頼区間:0.96-2.81)、体重40.0kg以上増加した患者群の早期大腸がん発症リスクは2.15倍(95%信頼区間:1.01-4.55)であった。

以上の前向き試験の結果より、Po-Hong Liu氏らは次のように結論を述べている。”若年女性における肥満は早期大腸がん発症のリスク因子になり得ることが本試験より示唆されました。”

Association of Obesity With Risk of Early-Onset Colorectal Cancer Among Women.(JAMA Oncol. Published online October 11, 2018. doi:10.1001/jamaoncol.2018.4280)

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