2018年9月25日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて化学放射線療法後の切除不能局所進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;以下イミフィンジ)単剤療法有効性を比較検証した第III相のPACIFIC試験(NCT02125461)における全生存期間OS)の結果がMoffitt Cancer Center・Scott J. Antonia氏らにより公表された。

PACIFIC試験とは、化学放射線療法後の切除不能局所進行性非小細胞肺がん患者(N=713人)に対して2週間に1回デュバルマブ10mg/kg単剤療法を最大12ヶ月投与する群(N=473人)、またはプラセボ単剤療法を投与する群(N=236人)に2:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目としてランドマーク解析による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、客観的奏効率ORR)などを比較検証した第IIIの国際多施設共同二重盲検下の第III相試験である。

なお、PACIFIC試験の初回解析の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はイミフィンジ群16.8ヶ月(95%信頼区間: 13.0-18.1ヶ月)に対してプラセボ群5.6ヶ月(95%信頼区間:4.6-7.8ヶ月)、イミフィンジ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを48%統計学有意に減少(ハザード比:0.52,73%信頼区間:0.42-0.65,P<0.001)することは既に報告されている。

本試験が実施された背景として、化学放射線療法後の切除不能局所進行性非小細胞肺がん患者の予後が不良であるためである。大半の患者は化学放射線療法後に病勢進行し、5年生存率は約15%~30%、全生存期間(OS)中央値は28ヶ月以下である。今日まで、いくつかの治療方法の有効性が検証されたが、その結果は全生存期間(OS)中央値18ヶ月~23ヶ月程であり、その有効性は不十分であった。以上の背景より、切除不能転移性進行性非小細胞肺がんに対して有効性が確認されていた抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ単剤療法の有効性が検証された。

本試験の結果、もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はイミフィンジ群未到達(95%信頼区間:34.7ヶ月-未到達)に対してプラセボ群28.7ヶ月(95%信頼区間:22.9ヶ月-未到達)、イミフィンジ群で死亡(OS)のリスクを32%統計学有意に減少(ハザード比:0.68,73%信頼区間:0.47-0.997,P=0.0025)した。

なお、12ヶ月全生存率(OS)はイミフィンジ群83.1%(95%信頼区間:79.4%-86.2%)に対してプラセボ群75.3%(95%信頼区間:69.2%-80.4%)、24ヶ月全生存率(OS)はイミフィンジ群66.3%(95%信頼区間:61.7%-70.4%)に対してプラセボ群55.6%(95%信頼区間:48.9%-61.8%)。

その他副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はイミフィンジ群30.0%(95%信頼区間:25.8%-34.5%)に対してプラセボ群17.8%(95%信頼区間:13.0%-23.6%)、イミフィンジ群で統計学有意に高率であった(P<0.001)。また、奏効持続期間(DOR)中央値はイミフィンジ群未到達(95%信頼区間:27.4ヶ月-未到達)に対してプラセボ群18.4ヶ月(95%信頼区間:6.7-24.5ヶ月)。

一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はイミフィンジ群30.5%に対してプラセボ群26.1%、有害事象(AE)による治療中止率はイミフィンジ群15.4%に対してプラセボ群9.8%。なお、治療中止の原因である主な有害事象(AE)は肺臓炎がイミフィンジ群4.8%に対してプラセボ群2.6%、放射線肺炎がイミフィンジ群1.3%に対してプラセボ群1.3%、肺炎がイミフィンジ群1.1%に対してプラセボ群1.3%であった。

以上のPACIFIC試験の結果よりScott J. Antonia氏らは以下のように結論を述べている。”切除不能局所進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ単剤療法は、プラセボに比べて全生存期間(OS)を統計学有意に改善しました。”

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1809697?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dwww.ncbi.nlm.nih.gov

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