2018年9月1日、医学誌『Annals of Oncology』にて複数治療歴のある局所進行転移性大腸がん患者に対するチロシンキナーゼ阻害薬であるニンテダニブ単剤療法有効性を比較検証した第III相のLUME-Colon 1試験(NCT02149108)の結果がUniversity Hospitals Gasthuisberg Leuven and KU Leuven・E Van Cutsem氏らにより公表された。

LUME-Colon 1試験とは、局所進行転移性大腸がん患者(N=768人)に対して1日2回ニンテダニブ200mg単剤療法を投与する群(N=384人)、またはプラセボ療法を投与する群(N=381人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間OS)、無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)を比較検証した第III相試験である。

本試験が実施された背景として、複数治療歴のある局所進行転移性大腸がん患者に対する現在の標準治療法であるレゴラフェニブ(商品名スチバーガ)、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩(商品名ロンサーフ)の治療関連有害事象(TRAE)の忍容性を改善する治療法を開発するためである。両剤は全生存期間(OS)を改善する有効性を示したものの、忍容性が不良なために患者のQOL(生活の質)を損なう場合がある可能性が示唆されている。以上の背景より、過去の臨床試験において有効性、忍容性が確認されているニンテダニブ単剤療法の有用性が検証された。

本試験に登録された患者背景はニンテダニブ群、プラセボ群それぞれ下記の通りである。年齢中央値はニンテダニブ群62歳(22-85歳)に対してプラセボ群62歳(23-83歳)。性別はニンテダニブ群で男性61.1%(N=236人)に対してプラセボ群で男性57.1%(N=218人)。人種はニンテダニブ群で白人72.3%(N=279人)、アジア人25.1%(N=97人)、その他1.3%(N=5人)に対してプラセボ群で白人70.2%(N=268人)、アジア人27.2%(N=104人)、その他0.8%(N=3人)。

ECOG Performance Statusはニンテダニブ群でスコア0が42.0%(N=162人)、スコア1が57.8%(N=223人)に対してプラセボ群でスコア0が37.2%(N=142人)、スコア1が62.8%(N=240人)。原発巣腫瘍部位はニンテダニブ群で直腸66.3%(N=256人)、結腸33.7%(N=130人)に対してプラセボ群で直腸59.4%(N=227人)、結腸40.3%(N=154人)。

前治療平均レジメン数はニンテダニブ群で3.9レジメンに対してプラセボ群で3.9レジメン。前治療3レジメン以上の患者はニンテダニブ群で76.9%(N=297人)に対してプラセボ群で77.5%(N=296人)。以上のように、患者背景は両群間で大きな偏りはなかった。

本試験のフォローアップ期間中央値13.4ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はニンテダニブ群6.4ヶ月(95%信頼区間:5.98-7.10ヶ月)に対してプラセボ群6.0ヶ月(95%信頼区間:5.22-6.97ヶ月)、ニンテダニブ群で死亡(OS)のリスクを1%増加(ハザード比:1.01,95%信頼区間:0.86-1.19,P= 0.8659)し、両群間に統計学有意な差は確認されなかった。

また、もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はニンテダニブ群1.5ヶ月(95%信頼区間:1.45-2.17ヶ月)に対してプラセボ群1.4ヶ月(95%信頼区間:1.38-1.41ヶ月)、ニンテダニブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを42%統計学有意に減少(ハザード比:0.58,95%信頼区間:0.49–0.69,P < 0.0001)した。

一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はニンテダニブ群97%に対してプラセボ群93%を示した。また、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は肝障害がニンテダニブ群16%に対してプラセボ群8%、倦怠感がニンテダニブ群9%に対してプラセボ群6%を示した。

以上のLUME-Colon 1試験の結果よりE Van Cutsem氏らは以下のように結論を述べている。”局所進行転移性大腸がん患者に対するニンテダニブ単剤療法は、プラセボ療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を改善するも、全生存期間(OS)は改善しませんでした。”

Nintedanib for the treatment of patients with refractory metastatic colorectal cancer (LUME-Colon 1): a phase III, international, randomized, placebo-controlled study(Annals of Oncology, Volume 29, Issue 9, 1 September 2018, Pages 1955–1963)

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