進行性非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する1次治療としての抗PD-L1抗体薬テセントリク+化学療法、病勢進行または死亡(PFS)のリスクを40%統計学的有意に減少する第19回世界肺がん学会議(WCLC 2018)より


  • [公開日]2018.10.02
  • [最終更新日]2019.04.18
この記事の3つのポイント
・未治療非小細胞肺がん患者対象の免疫チェックポイント阻害薬の第三相試験
テセントリク+化学療法併用療法の有効性を標準化学療法と比較検証した
・一部最終結果が出ていないが、テセントリクの有効性を示した3つめの試験となった

2018年9月24日、カナダ・トロントで開催された第19回世界肺がん学会議(WCLC 2018)にて進行性非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する1次治療としての抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+ペメトレキセドシスプラチンまたはカルボプラチン併用療法の有効性を比較検証した第III相のIMpower132試験(NCT02657434)の初回解析の結果が公表された。

IMpower132試験とは、進行性非扁平上皮非小細胞肺がん患者(N=578人)に対する1次治療としてテセントリク+ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用療法を投与する群、またはペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)などを比較検証した非盲検下の第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク+ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群7.6ヶ月に対してペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群5.2ヶ月、病勢進行または死亡(PFS)のリスクを40%統計学的有意に減少(HR:0.60,95%信頼区間:0.49-0.72,p<0.0001)した。なお、12ヶ月無増悪生存期間(PFS)率はテセントリク+ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群33.7%に対してペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群17.0%であった。

また、もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はテセントリク+ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群18.1ヶ月に対してペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群13.6ヶ月、死亡(OS)のリスクを19%減少(HR:0.81,95%信頼区間:0.64-1.03,p=0.0797)するも統計学的有意な差は確認されなかった。12ヶ月全生存(OS)率はテセントリク+ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群59.6%に対してペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群55.4%であった。なお、本試験は計画通り継続され、来年には全生存期間(OS)の最終解析の結果が公表される予定である。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はテセントリク+ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群47%に対してペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群32%であった。また、奏効持続期間(DOR)中央値はテセントリク+ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群10.1ヶ月に対してペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン併用群7.2ヶ月であった。

一方の安全性については、既存のテセントリクの臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。

以上のIMpower132試験の結果を受けてエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社・最高医学責任者兼国際開発責任者であるSandra Horning氏は以下のように述べている。”進行性非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対するテセントリクの有効性を示した第III相臨床試験は本試験で3つ目です。今後も政府当局と協議を進め、本試験の結果を臨床で反映できるように努めてまいります。”

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社のプレスリリースはこちら
https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2018-09-24b.htm

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