この記事の3つのポイント
・抗PD-1抗体薬治療歴のある神経膠腫患者を対象としたレトロスペクティブ試験
・抗PD-1抗体薬治療歴のない患者群と比較し、無増悪生存期間全生存期間を検証した
・治療歴のない患者群と比較し、統計学的有意な差は確認されなかった

2018年8月31日、医学誌『Neurology』にてサルベージ療法としての抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)またはペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)治療歴がある再発性高悪性度神経膠腫(グリオーマ)患者の予後を後ろ向きに検証した観察研究の結果Laura and Isaac Perlmutter Cancer Center・Kurz SC氏らにより公表された。

本試験は、オプジーボまたはキイトルーダ治療歴のある再発性高悪性度神経膠腫(グリオーマ)患者(N=31人)を対象に、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を後ろ向きに検証した観察研究である。なお、抗PD-1抗体薬治療歴のある再発性高悪性度神経膠腫(グリオーマ)患者は、抗VEGF抗体薬であるベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)治療歴の有無別でも有効性が検証されている。

本試験の結果、無増悪生存期間(PFS)中央値は抗PD-1抗体薬治療歴のある患者群で3.2ヶ月(95%信頼区間:2.2-4.2ヶ月)を示した。また、全生存期間(OS)中央値は抗PD-1抗体薬治療歴のある患者群で6.6ヶ月(95%信頼区間:4.2-9.1ヶ月)を示した。

また抗PD-1抗体薬別の無増悪生存期間(PFS)中央値は、オプジーボ治療歴のある患者群では3.8ヶ月(95%信頼区間:1.7-5.8ヶ月)、キイトルーダ治療歴のある患者群では2.3ヶ月(95%信頼区間:1.7-2.8ヶ月)、抗PD-1抗体薬別の無増悪生存期間(PFS)においては統計学有意な差は確認されなかった(P=0.08)。

またアバスチン治療歴の有無別の無増悪生存期間(PFS)中央値は、アバスチン治療歴かつ抗PD-1抗体薬治療歴のある患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は3.2ヶ月(95%信頼区間:2.0-4.3ヶ月)、アバスチン治療歴のない抗PD-1抗体薬治療歴のある患者群では3.7ヶ月(95%信頼区間:0-7.9ヶ月)、アバスチン治療歴の有無別の無増悪生存期間(PFS)においては統計学有意な差は確認されなかった(P=0.3)。

以上の観察研究の結果より、Kurz SC氏らは以下のように結論を述べている。”再発性高悪性度神経膠腫(グリオーマ)患者に対するサルベージ療法としての抗PD-1抗体薬療法は、セレクトされていない患者群に対して無増悪生存期間(PFS)をはじめ有効性が確認されていません。そのため、再発性高悪性度神経膠腫(グリオーマ)患者に対して抗PD-1抗体薬を検討する場合、現時点では限られた患者群に限定するべきでしょう。”

補足(2018年9月19日)
現時点で神経膠腫(グリオーマ)に対してPD-1抗体薬の有効性は明らかになっておりません。

PD-1 inhibition has only limited clinical benefit in patients with recurrent high-grade glioma(Neurology, DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000006283)

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