慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するトレアキシン単剤療法後の抗CD20抗体薬ガザイバ+BCL-2阻害薬ベネトクラクス、全奏効率(ORR)95%を示す医学誌『The Lancet Oncology』より


  • [公開日]2018.08.23
  • [最終更新日]2018.08.23
この記事の3つのポイント
・未治療または既治療の慢性リンパ性白血病の患者を対象にした第Ⅱ相試験
トレアキシン単剤投与後のガザイバ+ベネトクラクス併用療法有効性を検証した
・未治療、既治療患者ともに高い効果が示された

2018年8月13日、医学誌『The Lancet Oncology』にて慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するベンダムスチン(商品名トレアキシン;以下トレアキシン)単剤療法後に抗CD20モノクローナル抗体薬であるオビヌツズマブ(商品名ガザイバ;以下ガザイバ)+経口B細胞リンパ腫-2(BCL-2阻害薬であるベネトクラクス併用療法の有効性を検証した第II相のCLL2-BAG試験(NCT02401503)の結果がUniversity of Cologne・Paula Crame氏らにより公表された。

CLL2-BAG試験とは、18歳以上の未治療または治療歴のある慢性リンパ性白血病(CLL)患者(N=66人,未治療群35人,再発難治性群31人)に対してトレアキシン単剤療法を投与後、導入療法メンテナンス療法としてガザイバ+ベネトクラクス併用療法を投与し、主要評価項目として全奏効率ORR)、副次評価項目として微小残存病変MRD)陰性率、治療関連有害事象(TRAE)発症率などを検証したドイツにおける多施設共同前向き第II相試験の結果である。

なお、投与スケジュールは28日を1サイクルとして1、2日目にトレアキシン70mg/㎡を2サイクル投与、4週間を1サイクルとして1サイクル目は1、2、8、15日目にガザイバ1000mg、2から6サイクル目(導入サイクル)は4週間に1回ガザイバ1000mg、7サイクル目(メンテナンスサイクル)以降は12週間に1回ガザイバ1000mgを投与、1日1回ベネトクラクス20mgより開始し1日1回ベネトクラクス400mgまで漸次増量する。

本試験に登録された患者背景は全群、未治療群、再発難治性群それぞれ下記の通りである。年齢中央値は全群で59歳(54-67歳)、未治療群で58歳(53-68歳)、再発難治性群で61歳(54-65歳)。診断から治療までの期間中央値は全群で60ヶ月(18-125ヶ月)、未治療群で29ヶ月(4-73ヶ月)、再発難治性群で106ヶ月(45-160ヶ月)。

性別は全群で男性76%(N=50人)に対して女性24%(N=16人)、未治療群で男性80%(N=28人)に対して女性20%(N=7人)、再発難治性群で男性71%(N=22人)に対して女性29%(N=9人)。Binet分類は全群でステージAが26%(N=17人)、ステージBが27%(N=18人)、ステージCが47%(N=31人)、未治療群でステージAが20%(N=7人)、ステージBが31%(N=11人)、ステージCが49%(N=17人)、再発難治性群でステージAが32%(N=10人)、ステージBが23%(N=7人)、ステージCが45%(N=14人)。

B症状ありの患者は全群で36%(N=24人)、未治療群で37%(N=13人)、再発難治性群で35%(N=11人)。Bulky病変の大きさは全群で>5cmが42%(N=28人)、>10cmが20%(N=13人)、未治療群で>5cmが37%(N=13人)、>10cmが20%(N=7人)、再発難治性群で>5cmが48%(N=15人)、>10cmが19%(N=6人)。

国際予後指標(IPI)分類では全群で低リスク5%(N=3人)、中間リスク30%(N=19人)、高リスク44%(N=28人)、超高リスク21%(N=13人)、未治療群で低リスク9%(N=3人)、中間リスク41%(N=14人)、高リスク35%(N=12人)、超高リスク15%(N=5人)、再発難治性群で低リスク0%、中間リスク17%(N=5人)、高リスク55%(N=16人)、超高リスク28%(N=8人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である全奏効率(ORR)は全患者群95%(95%信頼区間:87-99%)、未治療群100%(95%信頼区間:90-100%)、再発難治性群90%(95%信頼区間:73-98%)、帰無仮説である全奏効率(ORR)75%を統計学有意に達成した(P=0.0002)。

副次評価項目である末梢血中微小残存病変(MRD)陰性率(<10-4)は全患者群で87%(N=55人)、未治療群で91%(N=31人)、再発難治性群で83%(N=24人)。骨髄中微小残存病変(MRD)陰性率(<10-4)は全患者群で13%(N=8人)、未治療群で12%(N=4人)、再発難治性群で14%(N=4人)であった。

その他評価項目である無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)は共に未到達であった。なお、15ヶ月無増悪生存率PFS rate)は全群で92%(95%信頼区間:85%-99%)、未治療群で100%(95%信頼区間:未到達)、再発難治性群で83%(95%信頼区間:69%-97%)。15ヶ月全生存率(OS)は全群で95%(95%信頼区間:90%-100%)、未治療群で100%(95%信頼区間:未到達)、再発難治性群で90%(95%信頼区間:79%-100%)。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された重篤な治療関連有害事象(TRAE)は感染症であり、その内訳は肺炎、気管支肺炎、サイトメガロウイルス感染症、好中球減少症血小板減少症などであった。また、その他の重篤な治療関連有害事象(TRAE)としてはインフュージョンリアクション、冠動脈疾患、腫瘍溶解症候群、二次がん、クレアチニン上昇などであった。

以上のCLL2-BAG試験の結果よりPaula Crame氏らは以下のように結論を述べている。”慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するトレアキシン単剤療法後のガザイバ+ベネトクラクス併用療法は忍容性があり、治療ステータスに関係のない高い全奏効率(ORR)を示しました。”

Bendamustine followed by obinutuzumab and venetoclax in chronic lymphocytic leukaemia (CLL2-BAG): primary endpoint analysis of a multicentre, open-label, phase 2 trial(The Lancet Oncology, DOI:https://doi.org/10.1016/S1470-2045(18)30414-5)

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