この記事の3つのポイント
化学療法治療歴のない去勢抵抗性前立腺がん患者に対して、イクスタンジの有効性を調べる試験
・251人を対象にした国際多施設共同無作為化試験 第Ⅳ相試験
・化学療法にイクスタンジを追加しても有効性は認められなかった

2018年7月20日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて化学療法治療歴のない去勢抵抗性前立腺がん患者に対してエンザルタミド(商品名イクスタンジ;以下イクスタンジ)単剤療法を投与し、その後前立腺特異抗原PSA;以下PSA)値が上昇した時にアビラテロン(商品名ザイティガ;以下ザイティガ)+プレドニゾロンを追加で併用する有効性を比較検証した第Ⅳ相のPLATO試験(NCT01995513)の結果がUniversity College London Cancer Institute・Gerhardt Attard氏らにより公表された。

PLATO試験とは、化学療法治療歴のない去勢抵抗性前立腺がん患者(N=509人)に対して1日1回イクスタンジ160mg単剤療法を投与し、その後PSA値の上昇が確認された251人の患者(ピリオド2)に対して1日1回イクスタンジ160mg+1日1回ザイティガ1000mg+1日2回プレドニゾロン5mg併用療法を投与する群(N=126人)、またはプラセボ+1日1回ザイティガ1000mg+1日2回プレドニゾロン5mg併用療法を投与する群(N=125人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)を比較検証した国際多施設共同無作為化の第Ⅳ相試験である。

本試験に登録されたイクスタンジ群、プラセボ群の患者背景はそれぞれ下記の通りである。年齢中央値はイクスタンジ群72歳(67.0-77.0歳)に対してプラセボ群71歳(65.0-77.0歳)。ECOG Performance Statusはスコア0が63%(N=79人)に対して67%(N=84人)、スコア1が37%(N=47人)に対して33%(N=41人)。

PSA中央値14.4μg/L(5.2-34.2)に対して11.0μg/L(4.9-48.2)。テストステロン中央値1.2nmol/L(1.2-1.2)に対して1.2nmol/L(1.2-1.2)。ALP中央値92.5U/L(67.0-122.0)に対して87.0U/L(67.0-121.0)。

転移部位は骨90%(N=113人)に対して90%(N=112人)、リンパ節41%(N=52人)に対して45%(N=56人)、肺もしくは肝臓6%(N=8人)に対して4%(N=5人)、その他10%(N=13人)に対して12%(N=15人)。骨転移の個数は1個が10%(N=13人)に対して10%(N=12人)、1-4個が29%(N=37人)に対して35%(N=44人)、5-9個が19%(N=24人)に対して18%(N=22人)、10-20個が17%(N=22人)に対して15%(N=19人)、20個以上が24%(N=30人)に対して22%(N=27人)。

以上の背景を有する患者に対するフォローアップ期間中央値5.6ヶ月の本試験の結果は下記の通りである。無増悪生存期間(PFS)中央値はイクスタンジ群5.7ヶ月に対してプラセボ群5.6ヶ月、イクスタンジ群で病勢進行または死亡のリスクを17%減少(ハザード比:0.83,95%信頼区間:0.61-1.12,P=0.22)するものの両群間に統計学有意な差は確認されなかった。

副次評価項目であるPSA進行中央値はイクスタンジ群2.8ヶ月に対してプラセボ群2.8ヶ月、イクスタンジ群でPSA進行のリスクを13%減少(ハザード比:0.87,95%信頼区間:0.61-1.24,P=0.45)するものの両群間に統計学有意な差は確認されなかった。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はイクスタンジ群45%(N=56人)、プラセボ群37%(N=46人)の患者で発症が確認された。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧がイクスタンジ群10%(N=12人)に対して2%(N=2人)、ALT上昇が6%(N=7人)に対して2%(N=3人)。なお、治療関連有害事象(TRAE)のために治療中止になった患者はイクスタンジ群9%(N=11人)、プラセボ群4%(N=5人)であった。

以上のPLATO試験の結果よりGerhardt Attard氏らは以下のように結論を述べている。”イクスタンジ単剤療法治療中の去勢抵抗性前立腺がん患者においてPSA値の上昇が確認された場合、ザイティガ+プレドニゾロンを追加投与しても無増悪生存期間(PFS)、PSA進行などを改善しないことが本試験より示されました。また、イクスタンジ+ザイティガ+プレドニゾロン併用療法は高血圧、ALT上昇の発現が多く確認されます。”

Abiraterone Alone or in Combination With Enzalutamide in Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer With Rising Prostate-Specific Antigen During Enzalutamide Treatment(DOI: 10.1200/JCO.2018.77.9827 Journal of Clinical Oncology – published online before print July 20, 2018)

×

この記事に利益相反はありません。

記事ランキング

がんの臨床試験(治験)をお探しの方へ

がん情報サイト「オンコロ」ではがんの臨床試験(治験)情報を掲載しています。

掲載中の臨床試験(治験)情報はこちら » 臨床試験(治験)とは »

オンコロリサーチ

患者さんやそのご家族のがんに関わるあらゆる声を調査(リサーチ)するための調査を実施しております。

実施中の調査一覧はこちら »

無料メルマガ配信中

メルマガ独自のコラム、臨床試験情報、最新情報を毎週配信しています。ぜひご登録ください。

メルマガ登録はこちら »