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HER2陰性リンパ節転移陽性またはハイリスク乳がん患者に対する術後化学療法としての化学療法+抗VEGF抗体薬アバスチン、無浸潤疾患生存期間(iDFS)を統計学有意に改善しない

[公開日] 2018.08.07[最終更新日] 2018.08.07

3つのポイント ・HER2陰性乳がんへのアバスチンの術後化学療法の有効性を確認する試験 ・4994名に対する前向きの臨床試験 ・化学療法にアバスチンを追加しても有効性は認められず
2018年7月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてHER2陰性乳がん患者に対する術後化学療法としての抗VEGF抗体薬であるベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)の上乗せ効果を比較検証した第III相のE5103試験(NCT00433511)の結果がIndiana University Melvin and Bren Simon Cancer Center・Kathy D. Miller氏らにより公表された。 E5103試験とは、HER2陰性リンパ節転移陽性またはハイリスク乳がん患者(N=4994人)に対する術後化学療法としてドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)療法後にパクリタキセル療法を投与する郡(アームA)、またはアバスチン+AC療法後にパクリタキセル療法を投与する郡(アームB)、またはアバスチン+AC療法後にパクリタキセル療法、その後アバスチンを投与する郡(アームC)の3郡に1対2対2の割合で振り分け、主要評価項目として無浸潤疾患生存期間(iDFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した二重盲検下の第III相試験である。 本試験に登録された各郡の患者背景は下記の通りである。年齢中央値はアームA群51.8歳(25.4-77.7歳)、アームB郡51.7歳(21.2-85.0歳)、アームC郡51.6歳(21.5-82.5歳)。ECOG Performance Statusはスコア0がアームA郡86%(N=860人)、アームB郡86%(N=1714人)、アームC郡85%(N=1700人)、スコア1がアームA郡14%(N=138人)、アームB郡14%(N=272人)、アームC郡15%(N=307人)。 原発腫瘍サイズは2cm以下がアームA郡38%(N=376人)、アームB郡39%(N=782人)、アームC郡39%(N=775人)、2cmより大きく5cm以下がアームA郡52%(N=521人)、アームB郡51%(N=1007人)、アームC郡51%(N=1024人)、5cmより大きいがアームA郡10%(N=102人)、アームB郡10%(N=194人)、アームC郡10%(N=207人)。リンパ節転移は陰性がアームA郡26%(N=259人)、アームB郡27%(N=541人)、アームC郡28%(N=563人)、陽性がアームA郡74%(N=740人)、アームB郡73%(N=1443人)、アームC郡72%(N=1444人)。 組織学的グレード分類はグレード1がアームA郡8%(N=74人)、アームB郡9%(N=174人)、アームC郡9%(N=174人)、グレード2がアームA郡36%(N=354人)、アームB郡33%(N=641人)、アームC郡32%(N=633人)、グレード3がアームA郡56%(N=551人)、アームB郡58%(N=1124人)、アームC郡59%(N=1158人)。 ホルモン受容体ステータスはHER陰性PgR陰性はアームA郡35%(N=350人)、アームB郡36%(N=717人)、アームC郡36%(N=729人)、HER陽性またはPgR陽性もしくは両方陽性はアームA郡65%(N=649人)、アームB郡64%(N=1269人)、アームC郡64%(N=1276人)。以上のように3郡間における患者背景に統計学有意な差は確認されなかった。 以上の背景を有する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である5年無浸潤疾患生存率(iDFS rate)はアームA郡77%(95%信頼区間:71%-81%)、アームB郡76%(95%信頼区間:72%-80%)、アームC郡80%(95%信頼区間:77%-83%)、3郡間で統計学有意な差は確認されなかった。 なお、ホルモン受容体陰性郡における年無浸潤疾患生存率(iDFS rate)はアバスチン上乗せ郡において改善する傾向が示されたが、統計学有意な差は確認されなかった。 副次評価項目である5年全生存率(OS rate)はアームA郡90%(95%信頼区間:87%-92%)、アームB郡86%(95%信頼区間:83%-88%)、アームC郡90%(95%信頼区間:88%-92%)、3郡間で統計学有意な差は確認されなかった。 一方の安全性としては、骨髄抑制、神経障害など化学療法に関連した治療関連有害事象(TRAE)発症率は3郡間で同様であった。また、アバスチンを上乗せすることで心毒性関連の治療関連有害事象(TRAE)の発症率はやや増加し、例えば、うっ血性心不全の発症率はアームA郡1.0%、アームB郡1.9%、アームC郡3%であった。 以上のE5103試験の結果よりKathy D. Miller氏らは以下のように結論を述べている。”HER2陰性リンパ節転移陽性またはハイリスク乳がん患者に対する術後化学療法としてアントラサイクリン系、タキサン系ベースの化学療法にアバスチンを上乗せしても無浸潤疾患生存期間(iDFS)、全生存期間(OS)ともに統計学有意に改善しませんでした。 Double-Blind Phase III Trial of Adjuvant Chemotherapy With and Without Bevacizumab in Patients With Lymph Node–Positive and High-Risk Lymph Node–Negative Breast Cancer (E5103)(DOI: 10.1200/JCO.2018.79.2028 Journal of Clinical Oncology - published online before print July 24, 2018)
ニュース 乳がん アバスチン(ベバシズマブ)

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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