• 検索
  • 相談
  • お知らせ
  • メニュー
  • がん種
  • 特集
  • 治験
  • リサーチ
  • イベント
  • 体験談
  • 患者会
  • 辞典
  • お役立ち

進行性非小細胞肺がん高齢者患者に対する一次治療としてのゲムシタビンまたはペメトレキセド+シスプラチン併用療法、全生存期間(OS)を統計学有意に改善しない

[公開日] 2018.08.03[最終更新日] 2018.08.03

3つのポイント ・70歳以上の非小細胞肺がん患者に対するシスプラチンの有効性を検証 ・結果、ペメトレキセドまたはゲムシタビンへの上乗せ効果がなし ・日本人を対象にした試験ではないため、主治医とよく相談を
2018年7月20日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて進行性非小細胞肺がん高齢者患者に対するシスプラチンベースの化学療法の有効性を検証した第III相のMILES-3試験(NCT01405586)、MILES-4試験(NCT01656551)の結果がDivisione di Oncologia Medica・Cesare Gridelli氏らにより公表された。 本試験は、70歳以上の進行性非小細胞肺がん患者(N=531人)に対する一次治療としてゲムシタビンまたはペメトレキセド療法にシスプラチンを併用療法を投与する群(N=263人)、またはシスプラチンを併用療法を投与しない群(N=268人)に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、安全性などを比較検証したイタリアで実施された多施設共同の第III相試験である。なお、MILES-3試験より299人、MILES-4試験より232人の患者が参加している。 本試験に登録されたシスプラチン併用群、非併用群のそれぞれの患者背景は下記の通りである。年齢は75歳未満がシスプラチン併用群52.8%(N=139人)に対して48.9%(N=131人)、75-80歳が38.4%(N=101人)に対して40.3%(N=108人)、80歳以上が8.7%(N=23人)に対して10.8%(N=29人)。性別は男性77.2%(N=203人)に対して80.2%(N=215人)。PerformanceStatusはスコア0が44.1%(N=116人)に対して42.5%(N=114人)、スコア1が55.9%(N=147人)に対して57.5%(N=154人)。 肺がんの組織的分類は扁平上皮29.7%(N=78人)に対して29.5%(N=79人)、非扁平上皮70.3%(N=185人)に対して70.5%(N=189人)。進行病期はステージIIIBが6.1%(N=16人)に対して7.5%(N=20人)、IVが93.9%(N=247人)に対して92.5%(N=248人)。 喫煙歴は現在も吸っている患者25.1%(N=66人)に対して27.2%(N=73人)、以前吸っていた患者60.8%(N=160人)に対して59.3%(N=159人)、喫煙歴なしの患者12.9%(N=34人)に対して13.4%(N=36人)。併用薬はゲムシタビンが77.9%(N=205人)に対して78.3%(N=210人)、ペメトレキセドが22.1%(N=58人)に対して21.6%(N=58人)。以上のように両群間で患者背景に統計学有意な差は確認されなかった。 以上の背景を有する患者に対するフォローアップ期間中央値24ヶ月の本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はシスプラチン併用群9.6ヶ月(95%信頼区間:8.1-11.7ヶ月)に対してシスプラチン非併用群7.5ヶ月(95%信頼区間:6.2-9.5ヶ月)、シスプラチン併用群で死亡のリスクを14%減少(ハザード比:0.86,95%信頼区間:0.70-1.05,P=0.14)するも両群間で統計学有意な差は確認されなかった。 副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はシスプラチン併用群4.6ヶ月(95%信頼区間:4.1-5.3ヶ月)に対してシスプラチン非併用群3.0ヶ月(95%信頼区間:2.5-3.8ヶ月)、シスプラチン併用群で病勢進行または死亡のリスクを24%統計学有意に減少(ハザード比:0.76,95%信頼区間:0.63-0.92,P=0.006)した。 また、客観的奏効率(ORR)もシスプラチン併用群15.5%(95%信頼区間:11.2%-20.6%)に対してシスプラチン非併用群8.5%(95%信頼区間:5.4%-12.5%)、シスプラチン併用群で統計学有意に高率(P=0.02)であった。 一方の安全性としては、シスプラチン非併用群に比べてシスプラチン併用群で統計学有意に発症率が高かった治療関連有害事象(TRAE)は粘膜炎、吐き気、嘔吐、血小板減少症、白血球減少症、好中球減少症、発熱性好中球減少症、疲労、食欲不振であった。 以上のMILES-3試験、MILES-4試験の結果よりCesare Gridelli氏らは以下のように結論を述べている。”70歳以上の進行性非小細胞肺がん患者に対する一次治療としてシスプラチンベースの化学療法併用療法を行っても、全生存期間(OS)は統計学有意に改善しないことが本試験の結果より示されました。” Cisplatin-Based First-Line Treatment of Elderly Patients With Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer: Joint Analysis of MILES-3 and MILES-4 Phase III Trials(DOI: 10.1200/JCO.2017.76.8390 Journal of Clinical Oncology - published online before print July 20, 2018)
ニュース 肺がん 高齢 アリムタ(ペメトレキセド)

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

治験・臨床試験

一覧を見る

リサーチ・調査

一覧を見る

ニュース

一覧を見る

イベント

一覧を見る

患者会

一覧を見る