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ネクサバール治療歴のある進行性肝細胞がん患者に対するカボザンチニブ単剤療法、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)ともに統計学有意に延長する

[公開日] 2018.07.10[最終更新日] 2018.07.10

この記事の3つのポイント ・CELESTIAL試験とは、ネクサバールを含む多くとも2種類の全身療法治療歴のある進行性肝細胞がん患者に対してカボザンチニブ単剤療法とプラセボの有効性を比較検証した第III相試験である ・本試験の主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はカボザンチニブ群10.2ヶ月に対してプラセボ群8.0ヶ月、カボザンチニブを投与することでブラセボに比べて死亡(OS)のリスクを24%統計学有意に減少した ・本試験の副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はカボザンチニブ群5.5ヶ月に対してプラセボ群1.9ヶ月、カボザンチニブを投与することでブラセボに比べて病勢進行または死亡(PFS)のリスクを60%統計学有意に減少した
2018年7月5日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて進行性肝細胞がん患者に対する血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、MET、AXLなどのチロシンキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ単剤療法の有効性を検証した第III相のCELESTIAL試験(NCT01908426)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer Center・Ghassan K. Abou-Alfa氏らにより公表された。 CELESTIAL試験とは、ソラフェニブ(商品名ネクサバール;以下ネクサバール)を含む多くとも2種類の全身療法治療歴のある進行性肝細胞がん患者(N=707人)に対して1日1回カボザンチニブ60mg単剤療法を投与する群(N=470人)、またはプラセボ単剤療法を投与する群(N=237人)に2:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した国際多施設共同二重盲検下の第III相試験である。 本試験に登録された患者背景はカボザンチニブ群、プラセボ群それぞれ下記の通りである。年齢中央値はカボザンチニブ群64歳(22-86歳)に対してプラセボ群64歳(24-86歳)。性別は男性81%(N=379人)に対して85%(N=202人)。人種はアジア25%(N=116人)に対して25%(N=59人)、欧州49%(N=231人)に対して46%(N=108人)、カナダまたはアメリカ23%(N=108人)に対して25%(N=59人)。 ECOG Performance Statusはスコア0が52%(N=245人)に対して55%(N=131人)、スコア1が48%(N=224人)に対して45%(N=106人)。HBV陽性は38%(N=178人)に対して38%(N=89人)、HCV陽性は24%(N=113人)に対して23%(N=55人)、HBV・HCV陽性2%(N=8人)に対して2%(N=4人)。肝外病変ありは79%(N=369人)に対して77%(N=182人)。なお、両群間における患者背景に統計学有意な差は確認されなかった(P<0.05)。 本試験の計画された2回目の中間解析の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はカボザンチニブ群10.2ヶ月に対してプラセボ群8.0ヶ月、カボザンチニブを投与することでブラセボに比べて死亡(OS)のリスクを24%統計学有意に減少(ハザード比:0.76,95%信頼区間:0.63~0.92,P=0.005)した。 副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はカボザンチニブ群5.2ヶ月に対してプラセボ群1.9ヶ月、カボザンチニブを投与することでブラセボに比べて病勢進行または死亡(PFS)のリスクを56%統計学有意に減少(ハザード比:0.44,95%信頼区間:0.36~0.52,P<0.001)した。 客観的奏効率(ORR)はカボザンチニブ群4%(N=18人)に対してプラセボ群1%未満(N=1人)であり(P=0.009)、病勢コントロール率(DCR)はカボザンチニブ群64%(N=300人)に対してプラセボ群33%(N=79人)であった。 また、本試験のサブグループ解析では前治療ネクサバールのみの患者を対象にして全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を検証しており、その結果は下記の通りである。全生存期間(OS)中央値はカボザンチニブ群11.3ヶ月に対してプラセボ群7.2ヶ月、カボザンチニブを投与することでブラセボに比べて死亡(OS)のリスクを30%統計学有意に減少(ハザード比:0.70,95%信頼区間:0.55~0.88)した。 無増悪生存期間(PFS)中央値はカボザンチニブ群5.5ヶ月に対してプラセボ群1.9ヶ月、カボザンチニブを投与することでブラセボに比べて病勢進行または死亡(PFS)のリスクを60%統計学有意に減少(ハザード比:0.40,95%信頼区間:0.32~0.50)した。 一方の安全性としてグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)はカボザンチニブ群68%に対してプラセボ群36%、プラセボ群に比べてカボザンチニブ群で約2倍であった。なお、最も多くの患者で確認された有害事象(TRAE)は下記の通りである。手足症候群はカボザンチニブ群17%に対してプラセボ群0%、高血圧は16% に対して2%、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値上昇12%に対して7%、疲労は10% に対して4%、下痢は10%に対して2%であった。 以上のCELESTIAL試験の結果よりGhassan K. Abou-Alfa氏らは以下のように結論を述べている。”ネクサバール治療歴のある進行性肝細胞がん患者に対するチロシンキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ単剤療法はプラセボに比べて全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)ともに統計学有意に延長しました。” Cabozantinib in Patients with Advanced and Progressing Hepatocellular Carcinoma(N Engl J Med 2018; 379:54-63 DOI: 10.1056/NEJMoa1717002)
ニュース 肝臓がん カボザンチニブ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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